《コロナ現場発》感染 恐るべき速さ クラスター発生 老人ホーム
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飛沫感染を防ぐために設置した面会用のアクリル板

 4月に入居者5人を含む計6人が新型コロナウイルスに感染し、クラスター(感染者集団)が一時発生した群馬県の「住宅型有料老人ホームさんぽ」(高崎市引間町)の施設管理者が上毛新聞の取材に応じた。「感染スピードの恐るべき速さを感じた。精いっぱいの対応をしたが、入居者とその家族に対して申し訳ない気持ちでいっぱい」と胸の内を明かした。

 青天のへきれきだった。4月11日夜、同じくクラスターが発生した「有料老人ホーム藤和のその」(伊勢崎市)にも勤務していた看護師から「コロナに感染した」と連絡が入った。看護師はさんぽの入居者との接触はほとんどなかったものの、大事を取って13日からデイサービスを休止した。

■検査できれば…
 看護師の濃厚接触者だった職員2人は陰性となったが、入居者の男性1人が17日に発熱。18日に保健所に相談し「病院でPCR検査を受けた方が良い」との指示があり、高崎市内の病院へ。コンピューター断層撮影(CT)検査を受けたが肺炎の所見がなかったため、病院側はPCR検査を実施しなかった。

 男性は施設に戻ったが22日に食欲がなくなり、26日にPCR検査を受けて陽性が判明。その後男性の対応に当たった職員1人と、横並びの部屋にいた入居者4人の感染が相次ぎ確認された。「1週間で一気に感染が広がった。18日にPCR検査を受けさせてくれれば、クラスターにならなかったのではないか」。施設管理者には複雑な思いも残る。

 できる限りの対策は行ってきた。施設は例年、インフルエンザ対策などで1~3月の面会を禁止。コロナの影響を受けて今年は4月以降も禁止を継続し、外部との接触を回避してきた。そんな中でのクラスター発生。「『なぜうちが』と思ったが、保健所への連絡、入居者と家族への説明などに追われた」

■第2波を警戒
 職員12人のうち5人は施設に泊まり込み、入居者のケアに当たった。「本当に大変だった。先が見えない状況で不安だった」と振り返る。

 感染発生を受けて、退職した職員もいた。誹謗ひぼう中傷の電話もあったという。施設管理者は「孤独感があったが、同業者の励ましの言葉もあって踏ん張れた」。職員の丁寧な対応もあり、入居者から退去の申し出は今のところない。

 感染した6人のうち、1人が亡くなり、5人は退院した。現在は通常通り営業し、入居者との面会は飛沫ひまつ感染を防ぐためアクリル板越しに10分間のみとするなど対策を徹底している。施設管理者は「またいつ波が来るかわからない。最大限できることはしていきたい」と第2波への警戒と備えを強調した。(吉野友淳)

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