《ニュース追跡》みなかみのネコ放置死 説得「地域が協力を」
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 昨年10月に群馬県みなかみ町の空き家で大量のネコが放置されて死んだ状態で見つかった事件で、ネコが閉じ込められていた部屋では50匹以上が死んでいた可能性があることが28日までに、関係者への取材で分かった。共食いなどで原形をとどめない死骸もあるため正確な数は不明という。背景にはペットが増えすぎて飼い主が適切な世話をできなくなる「多頭飼育崩壊」があるとみられ、昨年改正された動物愛護法で厳罰が強化されるなど対策が進められている。

◎飼育の限界 超えた末の悲劇
 空き家の中は、目を覆いたくなるような光景が広がっていたという。飼われていたネコは全てが死に、多くは白骨化やミイラ化が進んでいた。床には乾燥しきったふんが散乱し、共食いにより体がばらばらになった死骸もあった。

 関係者によると、2018年に多くのネコを飼っていた飼い主の男性が死亡。知人の男(46)が世話を引き継いだ。男は動物愛護のNPO法人を立ち上げようとしたこともあったが、知人に数匹ずつネコの面倒を頼むなど、世話を負担に感じている様子がうかがえたという。昨年9月以降は連絡がつかなくなり、群馬県警が今月8日に動物愛護法違反容疑で逮捕した。

 捜査関係者によると、ネコの部屋の扉は、屋外や他の部屋に出入りできないようくぎやフックなどの金具で固定されていた。死骸は段ボールに入れられたり、新聞紙に包まれたりしたものもあった。

 大量死について、ある捜査関係者は「飼育に至った経緯などいろいろな事情を考えなければならない。飼育が限界になり放置した、というのが実態なのではないか」と指摘する。男を知る女性も「人当たりが良くて話し好き。ネコ好きで、かわいがっている印象だった」と振り返る。

 ネコの死骸を発見し、県警に告発したNPO法人群馬わんにゃんネットワーク(高崎市)の飯田有紀子理事長によると、多頭飼育の当事者は、飼育環境が崩壊している事実を自覚できていないケースが多いという。第三者による避妊や去勢を拒む飼い主も少なくない。個人が飼育できる限界を超えて繁殖が進むと、虐待するつもりはなくても衰弱や病気で死んでしまうネコも増える。

 飯田理事長は「おかしいと気付いた人が行政などに連絡してほしい。飼い主の説得には、地域の協力も必要だ」と強調する。その上で「軽く扱われがちな動物の命が失われ、事件につながった。命が戻るわけではないが、真実が明らかになり再発防止につながってほしい」と訴えた。(高野誠也)

◎罰金10万円の略式命令
 みなかみ町のネコ大量死を巡り、ネコに水や餌を与えず放置して死なせたとして、前橋区検は28日、動物愛護法違反の罪で、埼玉県行田市棚田町の無職の男(46)を前橋簡裁に略式起訴した。簡裁は同日、罰金10万円の略式命令を出した。

 2018年10月上旬~19年9月中旬、借りていたみなかみ町鹿野沢の空き家2棟にネコ計十数匹を閉じ込めたまま、水や餌を与えず放置して死なせたとして、県警が逮捕していた。

 《動物愛護法》 昨年6月の改正でペットの殺傷や虐待について厳罰化され、子猫や子犬の販売禁止期間の延長なども盛り込まれ、順次施行されている。動物の殺傷は「2年以下の懲役または200万円以下の罰金」から「5年以下の懲役または500万円以下の罰金」となるなど大幅に罰則が強化された。

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