《コロナ現場発》障害者就労施設 自粛が影響で受注減
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収入減を補うために新たに始めたピザ販売=前橋市のガーデンタイム

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、障害者の働く場が苦境に立たされている。仕事を発注する企業や販売先の営業自粛、イベントの相次ぐ中止などで請け負う業務が減少。一時期は収入がほぼゼロとなり、利用者の賃金に当たる「工賃」を減らさざるを得ない事業所も出ている。危機を切り抜けようと、新たな事業展開を模索するなど関係者は対応に追われている。

◎実習も行えず新事業に活路

 「これでは採算が合わない。客足も元には戻らないし…」。就労継続支援事業などを行う前橋市の事業所「ワークハウスドリーム」の担当者は嘆く。運営するパン販売やカフェの一部を休止した4月には、売り上げが前年の6割に落ち込んだ。請け負っていた清掃の仕事も先行きが見えないのが現状だ。

 企業などへの就職に向けて訓練を行う「就労移行支援事業」も担っているが、企業での実習が行えずにいる。担当者は「実習を行えなければ就職にもつながらない。せっかく障害者雇用への機運が高まっていたのに。今後の影響が心配」と危惧する。

 実態を把握するため、県社会就労センター協議会は6月、新型コロナの影響に関する調査を実施。加盟事業所のうち半数の約30事業所から回答が得られ、部品類の組み立てからパン製造、清掃請け負いまでほとんどの事業所が「影響があった」と回答した。利用者に渡す工賃が半減した事業所もあった。

 こうした中、収益確保のため新たな事業に挑戦する事業所もある。就労継続支援B型事業所「ガーデンタイム」(同市)は今月、ドライブスルーでのピザ販売を始めた。農業に取り組む就労継続支援A型事業所「ワンライフ」(同)の新鮮なトマトを使っており、利用者の女性(20)は「おいしいピザができた。食べてもらえたらうれしい」と話す。

 ガーデンタイムでは、精神障害者ら約50人がパンの製造販売などを行ってきたが、コロナ禍で病院などの販売先が減り、2カ月ほど事業所の収入が途絶える事態に直面。施設管理者の斎藤拓さんは「利用者にとっては工賃だけでなく、働く場所、役割があるということも重要」と新事業の意義を説明する。

 同協議会は各事業所を支援するため、共同販売会を予定するほか、ホームページでのオンラインショッピングの充実を図る。石川益雄事務局長は「工賃が減れば、利用者はジュース1本買うのもちゅうちょしてしまう。商品販売の機会を増やすなど、対策に力を入れたい」と話した。

 ピザの注文はガーデンタイム(070-4206-0820)、同協議会に関する問い合わせは事務局(027-212-5510)へ。(浦野葉奈)

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