悲しみ 今なお深く 防災ヘリ事故から2年 遺族らが冥福祈る
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墜落現場近くの横手山で黙とうする遺族たち=10日、中之条町
発生時刻に合わせ黙とうする吾妻広域消防本部の職員=10日、東吾妻町

 群馬県防災ヘリコプター「はるな」が中之条町の山中に墜落し、搭乗していた9人全員が死亡した事故から10日で2年となった。現場付近や犠牲者が所属していた消防本部などでは、遺族や関係者が事故発生時刻の午前10時1分に黙とうするなどして冥福を祈った。

◎「寂しさは埋まらない」「昨日のように感じる」…
 消防職員の遺族は10日、現場近くの横手山(同町、長野県境)を訪れ、慰霊の献花をした。墜落現場の方を向いて全員で黙とうし、線香やビールなどを供えて静かに手を合わせた。

 吾妻広域消防本部に所属していた水出陽介さん=当時(42)=の父親(73)は「息子のことを思い出してしまい、今でも写真を見るのがつらい。生前に息子とあまり話す機会がなかったことが心残り。ゆっくり話す時間をつくれば良かった」と無念さをにじませた。

 蜂須賀雅也さん=当時(43)=の母親(71)は「子どもを失った悲しみは事故から2年たっても変わらない。誰を責めてもどうなるものでもない。何があっても寂しさは埋まらない」と顔を曇らせた。田村研さん=当時(47)=の兄、洋之さん(56)は、事故の原因調査が進む一方で運航再開に向けて、しっかりとした改善案が遺族に説明されていないと指摘。「これまで何度も事故が繰り返され、このままではまた絶対に起きてしまう」と事故の教訓が次代につながることを願った。

 搭乗していた社員2人が亡くなり、県防災ヘリの運航委託先だった東邦航空(東京都)の幹部らも横手山を訪れた。宇田川雅之社長は「8月10日を忘れてはならない日だと全社員で心に刻み、二度と同じような事故が起きないよう取り組んでいきたい」と決意を新たにした。

 県防災航空隊の拠点がある群馬ヘリポート(前橋市)では、常設の記帳所を訪れる人の姿があった。長男が航空自衛隊で救難を担当しているという玉村町の関口純一郎さん(66)は「人ごとではない。ヘリの事故が二度とないよう見守ってほしい」と涙ぐみながら手を合わせた。

 6人の職員を失った吾妻広域消防本部では、発生時刻に合わせ、職員約40人が敷地内にある慰霊碑の前で黙とう。山田圭一消防長は「2年たったが昨日のように感じる。職員一同、殉職者の遺志を引き継ぎ、地域の防災のために役立つ仕事をしていく」と誓った。

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