犠牲者の祖父に「海や船の安全守る」 孫が御巣鷹に慰霊登山
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家族4人で足を運び、祖父に就職先などの報告をした矢田大河さん(右から2番目)ら

 日航機墜落事故から12日で35年になるのを前に、墜落現場の御巣鷹の尾根(群馬県上野村)に連日、多くの遺族が訪れている。10日には、父親の敏雄さん=当時(50)=を亡くした川崎市の矢田康泰さん(53)一家の姿があった。家族4人で尾根に足を運んだのは約10年ぶり。孫の大河さん(21)は商船会社に就職することを報告し“安全運航”を誓った。

 大手鉄鋼メーカーの社員だった敏雄さんは兵庫県の実家に帰省する際、事故に巻き込まれた。当時大学生だった康泰さんは「厳しい父親だったが、海外出張が多く、海外のコインを土産で持ってきてくれた」と懐かしむ。その一方で、藤岡市内の体育館で遺体と対面したときは、忘れられないほどのショックを受けたという。

 この日、康泰さんは妻の恵子さん(50)、長男で大学4年の大河さん、長女で高校2年の美月さん(16)と尾根を訪れた。久しぶりに家族4人で慰霊登山をしたのは、就職活動を終えた大河さんが来春から商船会社の機関士として働くことになったことを、報告するためだ。大河さんは船のエンジンなどを整備するため、海上での生活が長期間続く。

 「海や船の安全を守ります」。大河さんは墓標の前で祖父に誓った。事故後に生まれたため、祖父は写真でしか見たことがない。「生きていたらどんな人だったのかなと思う」とつぶやき、「これからも見守っていてほしい」と語った。

 安全を願う強い思いは、子どもたちに受け継がれていく―。康泰さんは墓標への報告を終えた息子を見つめ、「空と海では異なるが、安全を守りたいという気持ちは同じ。精いっぱい頑張ってほしいですね」とほほ笑んだ。

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