豚の大量窃盗事件 生産者に衝撃 ネット上に不審な書き込みも
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 「誰が、何のために」「前代未聞だ」―。前橋市などの養豚場から計670頭もの豚が盗まれた大量窃盗事件は、手塩にかけて飼育してきた生産者に衝撃を与えている。CSF(豚熱)対策に追われる中、豚舎への侵入は防疫の観点からも危機感は強い。闇ルートでの転売を指摘する声に加え、インターネット上で豚肉購入を募るような不審な書き込みがあることも判明。群馬県警はグループによる犯行との見方を強め、窃盗容疑で捜査している。

■素足の跡
 「いくつかの部屋が空っぽになっていた」。太田市の養豚業の男性はこう振り返った。この養豚場では今月1日に出荷間際の豚が2頭、10~11日に子豚約50頭が盗まれた。被害に遭った11日、豚舎で犯人のものとみられるサンダルを発見。付近には同じ大きさの素足の跡も残っていたという。

 男性は同日、太田署に被害届を提出。被害後、防犯カメラと鍵を設置し、夜間に見回っているという。男性の妻は「豚を殺すための刃物を持っているはず。犯人に居合わせたらと思うと本当に怖い」と話した。

 県警によると、被害は7月上旬から目立ち始めた。被害は25日までの把握分だけで、前橋、伊勢崎、太田、館林4市の計7カ所で発生。人がいない夜間に狙われ、被害に遭った複数の養豚場には豚のものとみられる血痕があった。前橋市内では複数回にわたる計約400頭(被害総額約2000万円以上)もの被害もあった。県内で牛や鶏の被害もあるほか、近隣の栃木、茨城両県などでも家畜の盗難被害があり、広域的な犯行の可能性もある。

■ユニット型
 被害は子豚で「ユニット型」と呼ばれる簡易式豚舎で多かった。被害に遭った同市の別の生産者は「盗み出すにはそれなりの知識や下調べが必要。扉が幾つもあるような構造の豚舎よりも、盗みやすいことを知っていたのでは」と見る。

 関係者によると、会員制交流サイト(SNS)上では「豚を売っている」「発送する」などと豚肉の購入を募るような不審な投稿がある。特定の人しか見られないように設定され、仲間内で情報共有されていた可能性もあるという。

 一方、CSF(豚熱)対策に神経をとがらせてきた生産者には、犯人の侵入から伝染病まん延につながりかねないとの懸念も強い。ある生産者は敷地内に入る際は、必ず靴を消毒するなど感染予防策を徹底している。「ご丁寧に靴底を消毒してから豚を盗む犯人はいないだろう。侵入がきっかけでCSFが広がったらたまらない」と吐き捨てた。

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