《コロナ現場発》こけし産地の職人苦境 外国人客減で出荷大打撃
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インバウンド減少の影響を受けるこけし生産者=渋川市赤城町の藤川工芸

 新型コロナウイルス感染拡大に伴いインバウンド(訪日外国人客)が激減し、群馬県内で有数のこけし産地、渋川、吉岡、榛東3市町村の職人が苦境に立たされている。県内だけでなく国内の主要観光地への出荷が落ち込み、需要回復のめどが立たないためだ。生産者は危機感を募らせ、地域での絵付け体験などでファンの裾野を広げるなど地道な活動に動きだした。

 「京都や浅草に訪れる外国人観光客が減り、売れ行きは悪い」。卯三郎こけし(榛東村)の岡本義弘副社長(47)は現状を嘆く。店頭販売のほか、外国人に人気の観光地へ精力的に商品を出荷してきたが、出荷量は前年比2割弱に落ち込む。4月からは工場の稼働を止め、今なお20人以上の従業員が自宅待機を余儀なくされている。「職人仲間のほとんどが外国人向けにこけしを生産している。影響は甚大だ」と危惧する。

 外国人客の需要回復が見込めない中、国内の需要増が鍵となる。こけし生産者でつくる「匠会」は8月、県庁で「第29回創作こけし展」を開催。今年は疫病退散に御利益があるとされる妖怪「アマビエ」をモチーフにした、愛らしいこけしを並べた。各工房も国内での需要拡大に向けて知恵を絞る。外国人向け商品を手掛ける藤川工芸は、売上額が前年比9割減と落ち込む。それでも、地域の高齢者が集う「生き生きサロン」などの機会にこけしの絵付けを体験してもらう場を提供。今後は、学校などでもこけしに触れる機会を取り入れてもらうなど地域に根差した活動を検討している。

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