「群馬で人殺した」都内でベトナム国籍の男出頭 殺害に関与か
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前橋署へ移送される男=15日午後2時50分ごろ、前橋署

 15日午前8時半ごろ、ベトナム国籍の男が「群馬県で人を殺しました」と東京・品川区の交番に出頭した。男は同日午後に警視庁から前橋署に移送された。群馬県警は、県内でタクシーを無賃乗車したとして、詐欺の疑いで逮捕。男は前橋市富士見町皆沢のホテルで10日朝、経営者の女性(71)が刺殺された事件への関与をほのめかしているという。

◎無賃乗車の詐欺容疑で逮捕 残された在留カードから特定
 詐欺容疑で逮捕されたのは、住所不定、無職のベトナム国籍の男(30)。3日夜、大泉町から前橋市富士見町石井までタクシーに乗ったが、料金を支払う意思や当てがないにもかかわらず、「友達からもらってくる」などとうそを言って支払いを免れた疑いがもたれている。

 県警によると、「間違いありません」と容疑を認めている。未払いの料金は1万2030円。県警は、車内に残された在留カードや防犯カメラの映像などから男を特定。女性が刺殺された事件の後、詐欺容疑の逮捕状を取って行方を追っていた。県外で技能実習生として働いていたとみられ、県警が群馬県に訪れた理由や3日以降の行動などを調べている。

 ホテルでの事件は10日午前に発生。利用客の男性が、敷地内の屋外通路に倒れていた女性を発見。女性は背中を刃物で刺され、病院に搬送されたが、大動脈損傷による失血で死亡した。事務所からは売上金など数万円が盗まれたとみられ、県警は強盗殺人容疑を視野に捜査している。

◎「なぜ母を」遺族や友人から悲嘆や怒り 男出頭に近隣住民は安堵
 前橋市富士見町皆沢のホテルで経営者の女性が刺殺された事件を巡り、殺害への関与をほのめかしたベトナム国籍の男が別容疑で逮捕された15日、遺族や近隣住民らはあらためて悲しみや怒りの声を上げた。逃走する犯人を恐れ、周辺の学校では登下校の見守り活動が続けられていたため、安堵あんどの声も漏れた。

 女性の長男(35)は事件への関与をほのめかす男が逮捕されたことに「捕まったのは良かったけど、報われない。容疑者は自分と同じ30代の男。どうして母を刺したのかはっきりさせてほしい」と憤る。事件当時を振り返り、「自分がホテルにいたり、従業員も何人かいる状況だったりしたら、こんなことは起きなかったのかな…」と声を落とした。

 女性は英会話サークルに通っていた。サークル仲間の女性(84)は、仲間同士で女性に黙とうしたり、思い出話をしたりしていた際、ニュースで容疑者の逮捕を知ったという。「周りを明るくしてくれる彼女が殺されて本当に残念。(殺害をほのめかす男が)捕まっても、彼女が戻ってくるわけではない」と悔やんだ。

 近くでカフェを営む林伴子さん(42)は「目の前で事件が起こり、犯人が捕まらなくて仕事中も不安だった。子どもの登下校も送迎するようにしていたが、ひとまずほっとした」と胸をなで下ろす。

 現場周辺では警察や市教委が見守り活動を強化していた。前橋白川小では事件発生後、登下校時に保護者が同伴する姿が目立った。小林秀之校長は「確認が取れるまでは、子どもの安全を第一に対応したい」と話した。同小でPTA会長を務める自営業男性(48)は逮捕を知り、「誰か分からないという不安は解消された」とした上で、「なぜこんな郊外で事件が起きたのか。分からないことが多い」と語った。

 前橋富士見中では15日、事件後に休止していた部活動を再開した。市教委は「事件の犯人であればひと安心だが…。警察とも連携し、確定した情報がわかり次第、対応したい」としている。

 前橋石井小の青木美紀夫校長は、児童を迎えに来た保護者から聞いて容疑者逮捕を知った。「いたずらに不安をあおるのではなく、児童には『大人がしっかり守っているよ』と伝えている」と話した。

◎容疑者を乗せたタクシー運転手 殺害関与「まさか」
 「優しそうな雰囲気で、まさか人を殺すとは思えなかった。ニュースを見て、今、驚きと怖さが一遍に襲ってきている」。3日夜に男を乗せたタクシー運転手の男性(69)が15日、上毛新聞の取材に応じ、当時を振り返った。

 男性は大泉町の東武小泉線西小泉駅前で男を乗せ、「友人宅がある」という前橋市富士見町石井のアパートまで送った。男は移動中、「妻と3人の子どもがベトナムにいる」「日本に来て2年ほど」などと男性に話し掛けた。スマートフォンを長時間操作していたが、特段怪しい様子は感じなかったという。

 アパートに近づくと、男は「お金がない。友人に払ってもらう」と説明。男性は運賃を支払ってもらうため、在留カードや通帳が入ったバッグなどを預かった上で車から降ろした。しかし、男性が会社に連絡している隙に、男は逃走したという。

 男性は「荷物のほとんどを車内に置いていった。財布の中も見せられたがお金が全く入っておらず、逃走後の生活を心配してしまうほどだった」と振り返った。

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