休日の部活 地域に委託 文科省が方針 県内関係者 期待と懸念
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
 

 長時間労働が問題となっている教員の負担を軽減するため、文部科学省が公立中高の休日の部活動を地域や民間団体に委託し、教員による指導は希望者のみとする形式に切り替える改革方針を、9月に取りまとめた。長年議論されてきた部活の地域移行の実現にかじを切る格好だが、指導者の確保や保護者の負担増など課題は山積。群馬県内の関係者からは期待と懸念が入り交じった声が上がっている。

◎指導者の確保や学校との連携が課題に
 方針によると、地域移行は来年度から各都道府県のモデル校で実証実験を始め、2023年度からの段階的な導入を目指す。自治体に部活の監督責任を持たせ、保護者や元教員らでつくる指導グループなどの地域団体、総合型地域スポーツクラブや芸術文化団体などに業務を委託。休日指導を希望する教員は兼職や兼業の許可を得た上で、地域活動として従事できる。

 高崎市の総合型地域スポーツクラブ、NPO法人新町スポーツクラブは01年から、新町中のバレーボール部やバスケットボール部などを毎週土曜に受け入れており、地域移行の先進例となっている。小出利一理事長は18年、地域移行などの改革案を盛り込んだ日本スポーツ協会の提言の作成に関わり、文科省の方針発表を「来るべき時が来た」と受け止める。

 ただ、「今回の方針には、部活の主役であるべき生徒にどのように配慮するのかがほとんど記されていない」と指摘。実現に向けた課題として、(1)指導者確保 (2)学校との連携 (3)参加者の経済的負担―を挙げた。

 改革の主な対象となる公立中の部活指導者の心中は複雑だ。中毛地域の陸上部の男性顧問は「金銭的な事情や保護者の理解が得られない場合などで、部活を断念せざるを得ない子どもが出てくる」と危惧する。

 地域によって受け皿がない現状も指摘し、「結局、教師が休日は地域の指導者として指導するようになるだけ。学校から責任が引き離され、教員の負担はむしろ重くなるのではないか」と話した。

 西毛地域のハンドボール部の男性顧問は「やる気のある教員は休日も思い切りできるし、苦に感じる人は休日の拘束から解放される。選択肢が生まれるのは良いこと」と前向きに捉える。

 一方、平日と休日で指導者が変わる可能性に触れ「戦術やチーム作りの方針が異なれば、生徒や保護者は戸惑う。指導者間の連携や擦り合わせが重要になる」と強調した。

◎実態把握へ検討委員会…群馬県教育委員会
 群馬県教委は本年度、中学高校や部活の団体関係者らでつくる「県部活動運営の在り方検討委員会」を設置した。9月に第1回会合が開かれ、部活の過熱化の一因となっている各大会の実態を把握することを確認した。地域移行の方針について「国の動向を見ながら、まずは課題を洗い出したい」とし、検討委でも議論する。

 文部科学省は、地域移行に向けて必要な支援として、教員に代わって指導や引率ができる部活動指導員の配置を掲げている。人件費を補助する県教委によると、2018、19年度で計78人が公立中に配置され、さらに増やしていきたいとしている。

【情報をお寄せください】
 部活の地域移行へのご意見や部活改革に関する情報をお寄せください。電子メールで上毛新聞部活取材班(bukatsu@raijin.com)へ。(取材源は秘匿します)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
関連記事