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昨年10月の台風19号で、数十年かけて築かれてきた地域社会が変化を迫られている。内水氾濫などで一帯が浸水した群馬県富岡市の酢ノ瀬地区では、水害におびえながらも再び住む人がいる一方、被災を機に古里を離れた人がいる。住民の心には深い爪痕が残る。
■転居に喪失感
「台風と聞くと、怖くて怖くて…。普通じゃいられない」。床上180センチまで浸水し、約半年の避難生活を経てリフォーム後の自宅に戻った女性(75)は、今も不安が消えない。
36年暮らし、浸水は2007年の台風に続いて2度目。前回から「ようやくつくった思い出」が再び失われたことも大きいが、数十年付き合ったご近所の引っ越しにも喪失感を抱く。「宇都宮に行った人から寂しいって電話をもらって。『ここにいても不安なのよ』って返事したのよ」
床上80センチまで浸水した住宅の女性(72)は「常に非常食を車に積んである。水だけ用意すれば、いつでも逃げられるように」。別の家の男性は「(浸水後も)何でまた住むのって…。うち、ここしかねーもん。若い頃に高い金出して買ったんだし」と語った。
市によると、同地区の
■複雑な思い
引っ越しを決意した人も複雑な思いを抱いている。
「毎年、台風の季節になると進路や規模を常に気にしていた。寂しいけど、怖くてもう住めない」。床上180センチまで浸水、約1年のアパート生活を経験し、市内の別の場所に建てた新居が今月引き渡しとなった女性(61)は語る。
1年前は、要介護度2の姉(65)と自宅で2人暮らしだった。「姉は車いす生活で2階とかに垂直避難できないし、避難所にもいられない」。台風19号が猛烈な勢力だと事前に知り、姉をあらかじめ市内の高齢者施設に預かってもらうことで、九死に一生を得た。
「住民の中にはお年寄りもいる。心配で」。行政などに対しては、障害者や高齢者など弱者の情報を把握し、万が一の際は自宅にいても電話一本で逃げられるような体制を整えてほしいという。