コロナ禍で整備足踏み 障害者支える「地域生活支援拠点」
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相談員が常駐し、対応する利根沼田地域の基幹相談支援センター

 障害児者の高齢化や介護を担う親の亡き後を見据え、地域で支える仕組みを整える「地域生活支援拠点」の整備が足踏みしている。国は本年度末までの整備を目標に掲げているが、群馬県内で9月末時点で整備を終えているのは、16の市町村・圏域のうち5カ所にとどまる。新型コロナウイルス感染症の影響で整備に向けた話し合いが停滞する中、当事者からは「青写真を示してほしい」との声も上がっている。

 地域生活支援拠点は行政や福祉施設などが連携し、(1)相談(2)緊急時の受け入れ・対応(3)体験の機会の提供(4)専門的人材の確保・養成(5)地域の体制づくり―の五つの機能を原則備える。特に親が入院した際などに障害者を緊急的に受け入れるとともに、体験の機会提供を通じて生活の場を1人暮らしやグループホームへと移行しやすくする目的がある。

 9月末までに整備を終えているのは玉村町をはじめ、太田市、渋川地域、利根沼田地域、上野村。渋川市の担当者は「情報共有し、緊急時に空いている施設を紹介するなど迅速に対応できる」と意義を説明。太田市では障害者のいる家庭へのアンケートを通じ、「緊急時のリスクを減らすため備えをしたい」としている。

 今夏から運営を始めた利根沼田地域は3法人を中心に連携。薬など必要な支援が分かる「個人カード」、中長期的な支援方針を書き込む「支援ノート」の導入も独自に進めている。利根沼田障害者相談支援センターの仲丸守彦所長は「関係者が『わが事』の意識を共有し、協働することが大切。困ったときに相談できるという安心感を提供したい」と話す。

 他の自治体も本年度末までの整備計画を示しているが、新型コロナが影を落とす。福祉関係者の集まる会議の中断を余儀なくされ、話し合いが停滞している自治体も少なくない。中山間地では障害者に特化した福祉施設といった社会資源が乏しい地域もあり、「近隣市町村との協力も想定したい」(神流町)と模索が続く。

 厚生労働省は第6期障害福祉計画で、2023年度末までに各市町村・圏域で一つ以上を整備した上で、一層の機能充実を求めている。知的障害者や保護者らでつくる県手をつなぐ育成会の江村恵子会長は「コロナ禍で親が感染した場合を不安視する声があった。先送りしてはいけない問題」とした上で、「形式的でないものを整備してほしい。そのために当事者の声を届けたい」と訴えた。

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