高齢者のごみ出し 要支援増に危機感 県内で人的、財政的な課題
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
 

 高齢化が進む中、日々のごみ出しが困難な高齢者が増えている。体力の衰えや病気で集積所まで自力で運べず、家にごみがあふれて不衛生な暮らしに陥る例も。群馬県内では各戸を訪れて回収する自治体もあるが、人的、財政的な課題も抱える。対応は急務で、国は財政面での配慮に加え、将来的には自走式ロボットで戸別回収する構想も描く。

 「これも持って行って」。一軒家が点在する前橋市の旧宮城村地区。2年前に夫を亡くし1人で暮らす女性(83)が、市職員にごみを預けた。女性は70代でパーキンソン病を発症。体が弱く約1キロ離れた集積所まで運べない。「支援は大助かり。なければどうやって暮らせばいいか」

 市は2011年度から、要介護・要支援認定を受けた高齢者らの世帯を対象に週1回、戸別回収を実施。安否確認も兼ねており、3月末時点での利用は市内約15万世帯のうち1000世帯を超える。

 県内12市では前橋、高崎、桐生、沼田の4市が高齢者宅を訪れて回収している。環境省が行った19年の全国調査によると、回答を得た1648市区町村のうち、同様の支援をしているのは23.5%。訪問介護を使っていても、集積所へのごみ出しは種類ごとに決まった収集日の早朝に限られる場合が多く、その都度ヘルパーに頼むのが難しいことが背景にある。

 回答した自治体の87.1%は「高齢化でごみ出し困難な住民が増える」と危機感を抱くが、支援のハードルとなるのが人手不足と財政難だ。

 09年度から取り組んでいる桐生市では利用者が増加傾向にある。市職員2人が233世帯を回っている現状ではまだ余力があるが、「将来的には人手がもっと必要になる」と見通す。沼田市でも今後の需要増を踏まえ、「市の直接回収から委託にするなど手段を考える必要が出てくる」とする。

 苦慮する自治体に対し、国は経費の一部を特別交付税で手当てしているほか、収集員や業者、自治会、NPO法人などによる支援の仕組みづくりを促している。環境省が切り札になると期待しているのが、収集の「自動化」だ。台車のような自走式ロボットが対象世帯を巡回。軒先でごみを載せてもらって集積所まで運ぶ構想だ。

 収集員の新型コロナウイルス感染対策のため、集積所のごみ袋を機械で収集車に積み込むシステムを先行して実用化する計画で、来年度から実証事業に乗り出す。将来は、各戸から収集車まで一連の回収作業を自動化できる可能性もあるとみている。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
関連記事