江戸から明治の群馬を鳥の目線で デジタル技術で絵図の世界体感 県立歴史博物館
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床に絵図、壁面は3D映像が映し出される体験型の展示 
さまざまな城絵図が並ぶ展示室

 江戸時代から明治時代に描かれた群馬県の絵図を展示する企画展「空からグンマを見てみよう」が12月6日まで、高崎市の県立歴史博物館で開かれている。俯瞰ふかんした視点で描かれた国絵図や城絵図、町・村絵図を3部構成で紹介。前期(11月15日まで)と後期(同17日~)に分け、計58点を展示する。

3D映像、立ち位置で変化


 目玉は第2部の「国絵図の世界」。デジタル技術を活用し、江戸時代に描かれた3種類の国絵図を4~5メートル四方の原寸大で床に投映。会場壁面は絵図を基にした上空からの3D映像を映しており、床の絵図上に乗った人の位置に合わせて映像が変化する。各絵図に2カ所ずつ設定された名所などのポイントに立つと、解説映像が壁面に流れる仕組みにもなっている。

 「寛文上野国絵図」は前橋藩主の酒井家が測量・制作した。草津温泉には湯屋が描かれるなど、特徴的な描写が見られる。一方、寛文から約30年後の「元禄上野国絵図」は、制作に当たり曖昧だった国境や郡境を確定させたため、国としての基盤が固まった時期だったことを示している。

 この約100年後に元禄期からの変更点をまとめたのが「天保上野国絵図」。国が元禄の国絵図を修正した下図を提出し、幕府が絵図内の表記を統一するなど清書した。

 江戸時代に存在していた前橋、館林、高崎、沼田の四つの主要な城を描いた絵図が並ぶのは第1部「城絵図の世界」。各城絵図からは川や沼など周囲の環境、城下町全体の構造を読み取ることができる。

 里沼の城として知られた館林城は、市民有志が制作したジオラマもあり、当時の姿をより具体的にイメージできる。

統治から観光、変わる用途

 第3部「町・村絵図の世界」は江戸から明治初期にかけて、領地を巡る裁判の判決や土地の所有者を示す絵図を紹介。国の重要文化財に指定されている「壬申じんしん地券地引絵図」の一部原本を展示している。

 明治時代に地租改正が行われ、市民の土地の所有権が確立されたことで、徴税のため土地の所有者を明確にする必要があった。そのため、各地で地割りとその所有者を記した絵図が作られていったという。

 城絵図や国絵図は江戸幕府や明治政府が統治のために作らせたが、大正から昭和には観光のための絵図が広く流通するようになった。京都の絵師、吉田初三郎と弟子の金子常光はその第一人者で、2人が描いた群馬の鳥瞰図ちょうかんずも見ることができる。

 企画展は、体験型の展示や資料の内容に沿って同館が制作した4こま漫画などがあり、子どもも楽しめるように工夫されている。学芸員の青木裕美さんは「家族連れにも楽しんでもらい、資料を身近に感じてもらいたい」と話している。
(田代江太郎)

 【メモ】事前予約制で午前9時半~午後5時(入館は午後4時半まで)。月曜休館。動画投稿サイト「ユーチューブ」で展示資料の解説や、城下町の面影が残る場所を巡る「城下町探訪」を随時公開する。問い合わせは県立歴史博物館(027-346-5522)へ。

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