《NEWSインサイド》ウィズコロナ模索 店舗や避難所 混雑を可視化
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
実証実験でCafeラルゴ(桐生市)に設置された専用端末。ボタンを押すと混雑状況が配信される
 

 新型コロナウイルス感染症との共生を前提とする「ウィズコロナ」の時代に対応しようと、「3密」を回避しながら買い物や飲食を楽しんでもらったり、災害時に避難所が密集状態にならないよう配慮したりと、各自治体や企業が模索を続けている。情報技術(IT)を活用し、建物内などの混雑状況を可視化する動きも出てきた。(村岡瑞基)

■AIが案内

 前橋市は高崎健康福祉大と連携して、人工知能(AI)を活用した案内システムを10月に導入した。市役所のマイナンバーカード総合支援窓口にモニターを設置。画面上に表示される女性キャラクターが、来庁者に目的を聞いて案内する。

 質問データを収集しており、16日からはAIが自立して案内できるようにする予定。業務効率化に加え、窓口の混雑を緩和することで密集を避ける狙いだ。

 太田市は災害時の避難先を適切に案内しようと、避難所の開設や6段階の混雑状況を配信する専用ホームページを設けた。市災害対策課は「新型コロナを踏まえた分散対策にも活用が期待される」としている。

 沼田市は電子地域通貨「tengoo(テングー)」の導入を決め、12月から実証実験に取り組む方針だ。みなかみ町も「MINAKAMI HEART Pay(ミナカミハートペイ)」を導入。地域経済の活性化につなげるとともに、接触を避ける新しい生活様式にも対応する。

■会員に通知

 民間でも取り組みは進む。アミューズメント事業などを展開するネクサス(高崎市島野町、星野敏代表)が運営するフィットネスジム「スポレッシュ」は混雑状況を4段階に分け、1時間ごとにホームページで知らせている。最も混雑している段階では無料通信アプリ「LINE(ライン)」で会員に通知する。

 同社スポレッシュ事業部の三上剛史部長は「混雑を『見える化』することで、安心して利用してもらいたい」とする。

 桐生市内では6月に市民有志団体「Sukiryu(すきりゅう)」(高久保渉代表)が発足し、情報技術関連企業のバカン(東京都)が提供する混雑状況配信サービスの活用を始めた。現在、市内62の店舗・公共施設などが参加している。

 市は同社と避難所の情報配信に関する協定を締結。同サービスを利用し、災害時には市内55カ所の避難所の混雑状況を配信する。避難所情報の配信に関して、明和町も5日、同社と協定を結んだ。

◎街づくり、防災 両面に
 店側が客の往来に合わせて専用端末のボタンを押すと、混雑状況が「混雑」「やや混雑」「空きあり」の3段階で配信され、消費者がスマートフォンでリアルタイムに確認できる―。店舗や施設での「密」回避を目指し、Sukiryu(すきりゅう)とバカンが10月末まで桐生市内で行った実証実験だ。

■店の宣伝も

 実験に参加した靴店「アサカシューズ」(同市本町)代表の浅香洋一さんは「店舗情報も紹介されるので、宣伝につながる」と一定の評価を口にする。専用端末は無償貸与期間が終了し、使い続ける場合は料金が生じるが、パソコンなどから混雑情報を配信する仕組み自体は無料で継続利用できる。浅香さんは「面白い取り組みだから、知名度が上がればもっと利用されるのではないか」とした。

 一方、近くで喫茶店「プラスアンカー」を営む川口雅子さんは、情報が手軽に入手できるメリットに理解を示しつつ、「どこまでサービスに頼るべきか葛藤もある」と打ち明けた。デジタル技術の積極活用で来店に際しての問い合わせがなくなれば、大切にしてきた客との交流が薄れるのではないかと懸念している。

■バスで実験

 今後も多くの店や施設に使ってもらおうと、バカンは初期費用を除き月額980円(税別)と通常の3分の1程度に抑える新料金プランを用意した。スマホだけでなくパソコンでも確認できるようにしたり、混雑情報を記号化して一目で分かるようにしたりと利便性を高めている。

 Sukiryuも試行錯誤を重ねている。利用者が店に到着するまで10分間の座席確保を要望できる「10分キープ」機能を市内数店舗に導入し、10月には市内を巡回する低速電動バス「MAYU」の混雑状況を配信する実験的イベントを行った。
 バスについては今後、乗降の様子をカメラで捉え、自動的に配信情報に反映する実験を検討中。高久保渉代表は「取り組みの灯を絶やさないよう、さまざまな形で発信し続けたい」と意気込む。

 市は避難所のほか、公共施設6カ所で混雑情報の配信サービスを使っている。これまでの利用データを検証した上で、対応する施設を増やすことも視野に入れる。荒木恵司市長は「街づくりと防災の両面で、IT活用の重要性を市民に認識してもらうためにも、長期的視点で取り組みたい」と話した。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
関連記事