日航機事故遺族・美谷島さんら 絵本出版 御巣鷹の墓標に報告
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墓標に絵本を開いて見せるいせさん(手前)と美谷島さん

 「健ちゃん、絵本できたよ」―。1985年の日航ジャンボ機墜落事故で次男の健君=当時(9)=を亡くし、遺族らでつくる「8.12連絡会」の事務局長を務める美谷島邦子さん(73)=東京都大田区=と、絵本作家のいせひでこさん(71)=同杉並区=が13日、事故現場「御巣鷹の尾根」(群馬県上野村楢原)を慰霊登山した。2人は、命の大切さを伝える絵本「けんちゃんのもみの木」が出版できたことを墓標に報告した。

 絵本の題材は、美谷島さんの夫、善昭さん(73)が事故後に墓標近くに植えたモミの木。多くの悲しみや祈りに寄り添いながら成長し、命の大切さを未来に伝えていく様子が表現されている。3年ほど前から構成について話し合いを重ね、美谷島さんが自身の思いを文にし、いせさんが思いを酌みながら挿絵を描いた。

 2人は今年8月12日、墓標に絵本の原本を供え、完成間近なことを報告。尾根が冬季閉山日(14日)を迎えるのを前に、「健ちゃんに完成した絵本を読んでほしい」との思いを胸に一歩一歩尾根を踏み締めた。墓標に着くと、15メートルほどに成長したモミの木を、雪だるまのぬいぐるみやデコレーションで飾り付けた。

 墓標に開いて見せた絵本は、モミの木に犠牲となった520人の命の明かりがともる様子をいせさんが余白に描き加えた特別製。「『ママ頑張ったね』って言ってくれるはず」と美谷島さん。いせさんは「健ちゃんの声を聞きながら描いた。その時は、いつもきれいな心でいられた」と感謝の思いの述べた。

 絵本の原画展が11月29日まで、東京都大田区にある絵本店「ティール・グリーンinシード・ヴィレッジ」で開催中。午前11時~午後6時。月、火曜定休。問い合わせは同店(03-5482-7871)へ。

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