沼田市役所など家宅捜索 官製談合で県警 市長「厳正に対処」
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沼田市役所を家宅捜索し、押収品を運び出す捜査員=22日午後2時半すぎ
職員の逮捕を受け、記者会見で謝罪する横山公一市長(左)、川方一巳総務部長=22日午後5時すぎ、沼田市役所

 沼田市発注の水道関連工事の入札に際し、最低制限価格などを漏らしたなどとして、市契約検査課の幹部ら2人が官製談合防止法違反などの容疑で逮捕された事件で、群馬県警は22日、沼田市役所など5カ所を家宅捜索し、契約関係書類やパソコンなど570点を押収した。事件の全容解明を進めるとともに金品授受の有無などについても捜査する。事件を受け、市は同日、市役所で臨時記者会見を開いた。横山公一市長は職員の逮捕について「誠に遺憾。事実関係を把握した上で、厳正に対処する」と述べ、謝罪した。

 同法違反などの容疑で県警に逮捕されたのは同市下川田町、同市総務部契約検査課長の男(56)と同市利根町多那、有限会社取締役の男(66)の両容疑者。2人は共謀して10月上旬ごろ、市発注の水道関連工事の一般競争入札に際し、予定価格(936万円)と最低制限価格(822万円)を漏らし、同15日に同社に最低制限価格と同額で落札させて入札の公正を害した疑いが持たれている。捜査関係者によると2人は容疑を認めている。

 市役所の家宅捜索は22日午後1時半ごろ始まった。捜査員35人が立ち入り、捜索を実施し、入札業務を担当する契約検査課や関係の部署を調べ、段ボール8箱を運び出した。2容疑者の自宅や有限会社の事務所にも捜査員が立ち入り、段ボール計11箱分の資料などを押収した。

 県警は同日朝、官製談合防止法違反などの容疑で2容疑者を前橋地検に送検した。課長は車内で体を丸め込むように座っており、取締役はシートにもたれるように座り、じっと目をつむっていた。

◎「地元の仕事取りたくて」…最低制限で相次ぎ落札
 沼田市発注の水道関連工事を巡る官製談合事件で、官製談合防止法違反などの容疑で逮捕された有限会社取締役の男(66)が「地元の仕事を取りたくて情報提供を求めた」との趣旨の供述をしていることが22日、捜査関係者への取材で分かった。新型コロナウイルス感染症の影響で売り上げが一時落ち込んでいたともみられ、県警は取締役が最低制限価格を聞き出して利益の見込める公共事業を落札し、収益の改善につなげようとした可能性もあるとみて、詳しい動機や金品授受の有無などについて慎重に調べている。

 今回逮捕容疑となっている有限会社の落札は、同社から地域的に近い沼田市白沢町高平の水道管の工事だった。このため、県警は、同社が地元の公共工事を優先的に受注し、利益につなげる狙いもあったとみている。

 市の資料によると、同法違反などの容疑で取締役とともに逮捕された課長(56)が同市契約検査課長に就任した2018年度以降、同社が落札した市発注工事は今回の逮捕容疑の分を含め10件。このうち最低制限価格と同額での落札は18年度の3件と20年度の1件の計4件だった。最低制限価格との差が2万円だったケースも18年度に2件あった。

 業界内にはこうした状況への疑問もあった。地元の建設業関係者の男性は「最低制限価格と同額で入札できることは通常考えにくい。特に水道工事は材料費の計算が難しい中、ずばり同額で落札しており、不審だなと思っていた。市のチェックも甘いのではないか」と指摘。別の関係者も「最低制限価格で落札が続き、数年前からうわさになっていた」と話す。

 一方、市は22日の臨時記者会見で、同社が落札した工事について「不審だという声はなかった。入札制度自体に問題はない」と強調した。再発防止に向け、今回の問題を検証、原因究明した上で職員の意識向上を図るとした。

 取締役の長男の同社社長は「(父親が)突然捕まって驚いている。詳細は捜査中のため、コメントできない」と説明。事業については「新型コロナウイルス感染症の影響で売り上げが落ちていた」と話した。

◎「手法や制度に不備ない」…市総務部長 一問一答
 職員逮捕を受け、沼田市が22日に開いた記者会見で、川方一巳総務部長との一問一答は次の通り。

―最低制限価格と同額での落札について、庁内で疑問は上がらなかったか。過去にも同額で落札し、業者間でうわさもあった。
 私の所にはそういう声は入っていない。報道で知り驚いている。入札制度は電子のため、手法や制度に不備があったとは思わない。

―課長の仕事ぶりは。
 事務を的確にこなし、至って真面目。入札業務を掌握する部署のトップで、不正がないようにまとめる立場。事実なら重い。

―業者側との接点を知っていたのか。
 取締役が市役所に来て課長と会っているのは見たことがなく、把握していない。

―課長は「部下を守るため」と話しているようだが、業者からの圧力やトラブルを聞いたことは。
 問題があれば組織で対応すればいい。何から何を守りたいのか不明。トラブルは耳にしたことがない。

―再発防止に向け、職員への調査が必要だ。
 今回は制度の問題でなく人と人が関わったこと、業者とのつながりで起きた。全職員に法令順守を徹底するが、職員の聴取は考えていない。業者と接点を持たないのが望ましいが、改善に向けて何ができるかは現状で持ち合わせていない。

―チェック体制は甘く、今後強化しなければ再発してしまうのではないか。
 最低制限価格と同じだから全て不正というわけではない。同額だったら全て疑うのか、それをやらなくてはいけないのかは考える必要がある。まずは捜査を見守り、原因究明した上で、何か組織を作るなどどう見直していくか考える。

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