《NEWSインサイド》コロナ禍の修学旅行 学びや思い出 近・短で
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カヌー体験で自然と触れ合うみなかみ町・水上小の児童

 県外の史跡などを訪れて歴史や文化に触れつつ、仲間と思い出をつくる修学旅行は、学校生活における一大イベントだが、群馬県内の小中学校では本年度、行き先の変更や日帰りとする対応が相次いだ。授業時間確保が課題となる中で、代替旅行を断念する動きも。新型コロナウイルス感染症の拡大が、修学旅行にも大きな影響を及ぼしている。(村山拓未)

■「安全第一に」
 藤岡市では、8月の小学校長会で、東京都や神奈川県鎌倉市などへの修学旅行(例年10~11月)について議論した。宿泊時の感染リスクが避けられないことなどから、全11校が宿泊を伴う旅行の中止を決定。代替措置として栃木県日光市のほか、みなかみ町など県内での日帰り旅行を企画した。市教委学校教育課によると、各校が児童の主体的な体験学習の場を設ける意義を尊重したという。

 中学校の修学旅行(京都・奈良方面)については、市内各校の校長とPTA会長が集まる場が5月に設けられ、中止を決定。県内で先駆けた判断となった一方で、代替旅行は見送った。

 春先からの臨時休校で授業時間の確保が課題となる中、各校から「生徒が安心して受験などに取り組める環境を整備したい」との意向が示されたという。関係者による協議の場が迅速に設けられたことを受け、同課は「保護者側の理解を得つつ、子どもたちの安全を第一に考えた判断をしてくれた」とする。

■予定通り1泊
 南牧村では例年、小中学校ともに東京・鎌倉方面に出掛け、年ごとに宿泊旅行と日帰り旅行を交互に行ってきた。今年は小学校が日光・那須に、中学校が日光に行き先を変更。宿泊旅行を予定していた小学校は、参加児童が10人と少ないことから感染リスクを抑えられると判断し、当初の予定通り1泊2日で実施した。村教委は「学校が保護者の声を聞きつつ、児童の思い出づくりの機会を尊重した」としている。

 みなかみ町の小学校6校は毎年9~10月、神奈川県などに行っていたが、今年は各校が行き先を変更。尾瀬への日帰りにしたケースがあったほか、2校が宿泊先を町内の旅館に変更した。毎年、京都・奈良方面だった中学校4校のうち3校は東北地方、1校は山梨県に変更。いずれも宿泊日数を1日減らし、1泊2日で実施した。生徒の思い出づくりへの配慮や、集団行動における学びの機会を重視する観点などから決めたとしている。

■日帰り「残念」
 修学旅行を巡っては、宿泊を伴う旅行が軒並み中止され、日帰りの代替措置とする動きが広がった。

 全ての小学校が日帰りとなった藤岡市。ある40代の母親は、これまでに経験したことのないコロナ禍を踏まえ、「感染防止ではやむを得ない」と今回の対応に理解を示す。ただ、「(6年生の長女が)友人と長時間過ごせる宿泊旅行の中止を残念がっていた」と打ち明けた。

 県教委義務教育課は、代替旅行を行った自治体から子どもたちが楽しんでくれたという報告があるとし、「各市町村などが生徒の安全や思い出づくりに配慮し、最善の実施方法を検討してくれた」と受け止めている。

◎町内旅館に宿泊 「おもてなし」学ぶ場に…みなかみ町
 みなかみ町の水上小(桑原武史校長)は子どもたちが地域の魅力を再発見する機会にしようと、町内の旅館に宿泊する代替旅行を10月に実施した。

 同校は8月上旬に行った教育相談で6年生の保護者に対し、修学旅行の行き先を近県や県内、町内で検討していることを説明。新型コロナウイルスの感染リスクが少ない町内での実施を支持する声が多かったことを受け、方向性を決めた。

 実施内容について、同校は教育旅行プログラムの提供などを手掛ける一般社団法人「みなかみ町体験旅行」に相談した。担任らが法人側と話し合い、子どもたちが地域の魅力を探求できるプランに決定した。

 10月21日から1泊2日の日程で、同町谷川の旅館「別邸仙寿庵」に宿泊。子どもたちは浴衣の着方や入浴マナーなどを学びつつ、温泉旅館に受け継がれてきた「おもてなし」について学習した。ハイキングやカヌーといった野外活動も行った。参加した6年の石井蒼泰君は「いろいろな体験にみんなで挑戦して助け合い、絆を強めることができた」と振り返った。

 桑原校長は、宿泊先や同法人などの協力で実現することができたと感謝した上で、「町の未来を考える人たちの思いを含め、地域の魅力に触れる体験ができた。児童が町のことを考えて行動できるきっかけになったはず」と力を込める。

 新型コロナの収束は見通せず、修学旅行を巡る議論は来年度以降も続く可能性がある。同法人の福田一樹専務理事は「『どこに行くか』より『誰と、何をするか』を重視すれば、自然と学びがついてくる。(今回の取り組みが)修学旅行の在り方を考えるモデルになれば」と話した。

 【メモ】 群馬県教委によると、9月末時点で県内の小学校は19市町村、中学校は23市町村が宿泊を伴う修学旅行の中止を決め、その多くが代替旅行を検討。小学校は都内や神奈川県鎌倉市から栃木県の日光・那須方面に、中学校では京都府や奈良県への予定を福島、山梨両県などへ変更したり、日帰りにしたりする例が多い。県立の高校と中等教育学校については、20日時点で30校が宿泊を伴う修学旅行の中止を決定。35校が行き先や日程を変更した上で宿泊を伴う旅行を予定する。日程を来年度以降に設定する学校もあるという。

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