前橋・女子高生死傷 争いない異例の控訴審 東京高裁であす判決
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 前橋市北代田町の県道で2018年1月、乗用車で女子高校生2人をはねて死傷させたとして、自動車運転処罰法違反(過失致死傷)の罪に問われ、一審前橋地裁で無罪判決を受けた男(88)の控訴審判決が25日、東京高裁で言い渡される。一審で無罪となった弁護側は控訴審で一転、有罪を主張。検察側、弁護側の争いがなくなった異例の公判で、事故の予見可能性を否定した一審判決について、高裁がどのように判断するのか注目される。

◎一審は無罪 被告も有罪に同意
 事故は18年1月9日朝に発生。被告は乗用車を運転中、対向車線の路側帯を自転車で走っていた市立前橋高1年の女子生徒=当時(16)=と、同校3年だった女性(21)をはね、女子生徒は死亡し、女性は脳挫傷などの大けがを負った。

 被告は当時85歳。めまいの症状などで通院し、物損事故を複数回起こしていた。家族が被告に日ごろ、運転しないよう注意していた中で事故は起こった。

 同年11月に始まった一審で弁護側は、被告の説明や精神鑑定した医師の所見に基づき、「事故原因である意識障害を予見できなかった」と無罪を主張。一方、被告の長男らは「有罪であるべきだ」との考えを証言した。12月中旬以降、審理は一時中断。地裁の職権であらためて鑑定留置し、責任能力などを調べて19年11月に公判が再開された。

 今年3月の一審判決は、服用薬の副作用で意識障害に陥った可能性が高く、「(意識障害の)予見可能性は認められず、運転を避ける義務を負わせることはできない」として、無罪(求刑・禁錮4年6月)を言い渡した。判決を不服として検察側が控訴した。

 控訴審に向けて、被告側は家族の意向などから、一審の国選弁護人とは別の私選弁護人を立てた。「予見可能性はあり、被告に責任がある」として、検察側の主張を全面的に認めて有罪判決を求める方針に転換。現在の弁護人や被告の長男によると、被告自身も有罪主張に同意している。

 10月に東京高裁で開かれた控訴審初公判で、検察側は、日ごろから低血圧による目まいの症状があり、事故は予見できたと指摘。「無罪とした原判決は事実を誤認している」とする控訴趣意書を陳述した。これに対し、弁護側は有罪主張をした上で、「(被告は)88歳で余命も長くない。人生の最期を迎えるに当たり、罪を認め、その責任を取り、償って人生を終わらせたい」と述べている。

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