《集住地の陰で 北関東とベトナム人》(3)需給 コロナで一変 就職難 勤勉さを評価
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 9836人。

 群馬県に住むベトナム人の数(昨年12月時点)だ。記録が残る2003年(941人)の10倍以上に増え、総体的に人口減が続く県人口の0.5%を占めるまでになった。県民の200人に1人がベトナム人。背景に、何があるのか。

 「日本が一番『行きたい国』。最近は倍率が下がって、だいぶ来日しやすくなってきましたが」

 技能実習生の支援や北関東の企業への紹介を手掛ける、ベトナムサポートセンター(前橋市文京町)代表の森田高志さん(43)は説明する。来日するベトナム人は、08年のリーマン・ショック後から次第に増えたと肌感覚で覚えている。

 ベトナムで来日を望む人に日本語やマナーを教える「教育機関」で働いたこともある森田さんによると、現地の平均所得は月4万円前後。技能実習生や留学生として日本に渡りたい人は教育機関に数十万円支払い約3カ月住み込む。受け入れ先が決まれば、金融機関から「高利で」100万円前後を借り、渡航する。

 「毎月5万円ずつ貯金しながら、真面目に2年間働けば借金は返せる」計算だという。優先的に来日できるよう、ブローカーに数十万円を支払うケースも。森田さんは、多くの技能実習生の本来的な目的は「出稼ぎ」と受け止めている。

 こうしたベトナム人側の事情と、労働力を求める日本側の思惑が、「人口増」を生じさせている。

 多国籍の外国人の派遣事業などを手掛けているディワイスタッフ(伊勢崎市中央町)社長の小池直行さん(52)は、日本企業側の評価を代弁する。「とにかく真面目。ここ3年くらいで『ベトナム人がほしい』というニーズが増えた」

 伊勢崎、太田両市のほか埼玉、茨城両県にある自動車部品や住宅機器の製造業に人材を紹介。ベトナム人の勤勉性が評価され、「まとめて雇いたい」と依頼してきた企業もあった。

 そうした状況を一変させたのが新型コロナウイルスだった。技能実習生らは来日が難しくなり、受け入れる日本企業側も雇い続ける余裕がなくなった。

 18年に来日したカオ・ミン・トゥアンさん(29)=伊勢崎市三光町=はIT関係のエンジニアとして働いていたが、新型コロナの影響で今年5月に退職せざるを得なくなり、アルバイトでしのぐ。グエン・ジュック・ズィさん(25)=太田市小舞木町=は3月に来日し、秋口まで機械オペレーターとして働いていたが今は就職活動中だ。

 2人はいずれも現地の大学を卒業している。それぞれ12月、来年3月に在留期限を迎える。「日本で仕事を見つけて働き続けたい」と声をそろえた。

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