死亡の機長を書類送検 業過致死など容疑で県警 県と会社の責任問わず 県防災ヘリ事故
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 群馬県防災ヘリコプター「はるな」が2018年8月、中之条町の山中に墜落し、搭乗員ら9人全員が死亡した事故で、県警は26日、業務上過失致死や航空危険行為処罰法違反などの容疑で、ヘリを操縦していた機長=当時(57)=を容疑者死亡のまま前橋地検に書類送検した。県や運航を委託されていた東邦航空(東京)の刑事責任は問わなかった。

 書類送検容疑は18年8月10日午前、雲や霧で視界が悪く、目視での飛行が困難だったにもかかわらず飛行を継続。「最低安全高度」とされる地表から150メートルより低空を飛ぶなどし、機体を同町の山中に墜落させて搭乗員8人を外傷性ショックで死亡させた疑い。航空日誌の不備や事前に提出された飛行計画以外の場所を運航したなどの航空法違反容疑も盛り込んだ。

 県警は現場で回収した機体や小型カメラの映像などを分析し、運航実態についても調べ、機長の過失を断定した。飛行計画以外の場所を運航するなど県や東邦航空のずさんな運航管理も明らかになったが、事故に直結する責任は問えないと判断した。

 事故を巡り、国の運輸安全委員会は2月、報告書を公表。機長が悪天候で視界を遮られ、機体の姿勢を錯覚する「空間識失調」に陥ったことが墜落の原因とする見解を示した。

 書類送検を受け、犠牲となった吾妻広域消防本部の署員=当時(47)=の父で遺族会の会長は「県や東邦航空にも責任はあるはずだ。責任を問わずにこのまま終わってしまうのは納得いかない」と複雑な胸中を語った。別の遺族の男性も「機長一人の責任となってしまえば、また同じことを繰り返すのではないか」と疑問を呈した。

 山本一太知事は犠牲者に哀悼の意を示すとともに、「ご遺族の皆さまにお悔やみ申し上げる。書類送検を重く受け止め、引き続き安全運航体制の再構築に向けた取り組みをしっかりと進めたい」とコメントした。

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