共生 県外も苦悩 長野・南牧村 外国人の比率 農繁忙期15%超
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八ケ岳の麓に広がる農地=今月上旬、長野県南牧村

 新型コロナウイルス感染拡大後、群馬県を中心とした家畜窃盗事件で浮き彫りとなったベトナム人を巡る問題は、県外でも社会的な関心が高まっている。繁忙期に外国人住民の割合が15%以上になり、本年度にベトナム人の違法あっせん事件などが起きた長野県南牧みなみまき村を取材すると、人口減に伴い、彼らを「労働力」として頼らざるを得ない実態が見えてきた。

◎「真面目に働くよ」
 上信越道富岡インターチェンジから車で1時間半ほど。今月上旬、冠雪した八ケ岳の麓に雄大な農地が広がっていた。道を歩いていた外国人男性(38)に声を掛けると、「ベトナム人。農業で働いている。スーパーに行く」と片言の日本語が返ってきた。複数のベトナム人が行き来していた。

 「真面目に働くよ」。技能実習生としてベトナム人2人を雇っている農家の60代男性は評価する。同村はレタスやハクサイ、キャベツなど高原野菜の産地。男性は農業を営んで半世紀になるが、15年ほど前に中国人を雇い始め、3年前からベトナム人に切り替えた。自宅近くに住まわせる。

 「中国は国力が豊かになったからか、若い人が来てくれない。外国人がいなきゃ、この辺で農業なんかできない」。男性によると、ほとんどの農家が外国人を雇い入れているという。

 1日時点の村の人口は3179人。うち外国人は296人だが、野菜の出荷が最盛期の夏場は例年500人前後に。この際の人口比率は15%を上回り、群馬県なら伊勢崎市(6.2%)を超え、大泉町(19.0%)に近づく。村によると技能実習生は2004~05年に迎え入れ始め、今は昨年に新設された在留資格「特定技能」を取る人もいる。

 住民の女性は「昔は日本人の大学生が帰ってきて手伝ったけど今はいない。炎天下にさらされ、朝早く夜遅い仕事だしね」と話す。

 穏やかな雰囲気が漂う村だが、今年は似つかわしくない事件が続いた。9月には同僚への殺人未遂容疑で自称ベトナム国籍の男が逮捕。11月には、村などの農家約120戸にベトナム人約230人を違法にあっせんしたとして、大阪市の会社の男女3人が労基法違反容疑で書類送検された。

 関係者によると、村には住民登録せずに住むベトナム人も多く、不法残留者もいる可能性がある。「仲間もいるし、ネットワークがすごい。そうかといって、彼らがいなければ仕事が成り立たない」と共生への難しさを打ち明けた。(富岡支局・五十嵐啓介)

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