高齢者施設の入所者投票に課題 コロナ下の選挙、「不在者」指定は少数
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 新型コロナウイルスの感染拡大により外出自粛が求められる中、選挙を控える地域では、高齢者施設の入所者らの投票機会をいかに確保するかが課題となっている。群馬県選管の指定を受ければ施設でも不在者投票が可能になるが、小規模施設では人員配置やスペース確保の面から実施が困難な状況。家族や職員が正規の投票所へ送迎するにしても、感染リスクと隣り合わせとなり、関係者からは予防対策と投票機会確保の両立を不安視する声が上がっている。

 選管によると、病院や老人ホーム、障害者施設などでは都道府県選管の指定を受ければ施設内で不在者投票が可能。施設から申請されると、県が人員や場所の確保が可能かなどを確認する。県内では24日時点で、378施設が実施できる。

 ただ、指定には入居者50人以上という目安が示されており、小規模のグループホームやサービス付き高齢者向け住宅などでは、不在者投票に必要な場所や人員を確保できない場合が少なくない。来年2月に市議選を控える前橋市では、高齢者施設約240カ所のうち不在者投票の指定を受けているのは40カ所程度にとどまる。

 こうした状況を踏まえ、市長寿包括ケア課などは市内の高齢者施設向けに今月中旬、「投票は不要不急の外出に当たらない」と通知し、選挙権の行使を一律に妨げないよう配慮を求めた。市選管も、投票所の感染対策を徹底するとしている。

 来年1月に市長選が行われる伊勢崎市も万全な感染予防対策を講じる構え。「選挙は民主主義の大切な柱」として投票を呼び掛ける。不在者投票の指定を受けている施設に対しては対策の徹底を求めている。

 一方、施設側からは困惑の声が上がる。これまでは家族の付き添いで投票に行ってもらっていたという前橋市のグループホームの担当者は「持病を持っている人も多いので、今は外出も面会も控えてもらっている。入居者の安全を第一に考えると対応が難しい」と話す。

 高崎経済大の増田正教授(政治学)は「コロナ下では、高齢者だけでなくあらゆる世代の人が3密を避け、社会的距離を保ちながら投票できる環境を整えることが大前提」とした上で、「投票は民主主義の根幹をなす必要な外出であり、その権利は最大限尊重される必要がある。行政には一層こまやかな対応が求められる」と指摘している。

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