女子少年院「榛名女子学園」の“先輩”中村さんが少女支援 「多くが親から虐待」映画や本で問題提起
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中村すえこさん
中村さんが少女たちの赤裸々な声に耳を傾けてまとめた「女子少年院の少女たち」

 群馬県榛東村の女子少年院「榛名女子学園」で過ごした経験を踏まえ、横浜市の中村すえこさん(45)が少年院を出た少女たちの支援に取り組んでいる。2019年に少女に密着したドキュメンタリー映画を公開、昨年は書籍を出版し、犯罪に走る少女たちの大半が虐待などの被害者だという現状について問題提起した。社会全体で更生を考える必要があるとし、「人は変われる、社会は変えられると伝えたい」と力を込める。

 中村さんは15歳の時、地元の埼玉県で暴走族の総長になった。16歳の時に傷害事件を起こして逮捕され、同学園に収容された。仮退院後に暴走族を破門になったことで居場所を失い、覚醒剤に手を出して再逮捕された過去がある。

 立ち直るきっかけは、面会に来た母親の叱責しっせきで愛情を感じたことと、信頼できる大人との出会いだった。家庭裁判所の調査官が少年院送致を求めず、「君ならやっていける」と背中を押してくれた喜びが原動力となり、通信制大学で教員免許を取得。少年院を出た少女を支援するNPO法人「セカンドチャンス!」(東京都)を立ち上げ、同学園で過ごした“先輩”として若者の居場所づくりを目指す。

 19年7月に手掛けた映画「記憶」は、支援の一環として全国の少年院を訪問する中で、少女の生の声に耳を傾けたのがきっかけだ。犯罪に手を染めた背景を探ると、親からの虐待(ネグレクトを含む)があることが分かった。「加害者になる前に被害者だった事実を多くの人に知らせるべきだ」と感じ、思い入れのある同学園の少女に密着したドキュメンタリーを完成させた。

 20年11月には映画に登場する少女4人の会話などをまとめた本「女子少年院の少女たち―『普通』に生きることがわからなかった」(さくら舎)を出版した。生活のために窃盗を繰り返した少女、親に捨てられたのをきっかけに覚醒剤に溺れた少女―。生きるために犯罪を選んでしまった若者の過酷な現状と、赤裸々な声を取り上げた。

 次は男子少年院のドキュメンタリーを制作する計画だ。「周囲の理解で『独りじゃない』と感じられれば人は変われる。多くの人が現状を知ることで、社会を変えられるのだと伝えたい」と話す。

 映画「記憶」は更生に関わるNPO法人などが開く上映会で上映。「女子少年院の少女たち」は232ページ、1400円。全国の書店などで販売している。

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