教育機会「ある」4割 入院中の高校生 育英短大教授ら全国調査
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 義務教育に比べ、病院内学級などの整備の遅れが指摘される長期入院中の高校生への教育機会拡大を求める声が上がっている。病気の子どもや家族を支援する全国病弱教育研究会が昨秋に実施した当事者の声を集めるアンケートでは、入院中に「教育機会がある」とした回答は4割にとどまった。県内で唯一、病弱教育を行っている県立赤城特別支援学校(前橋市)も高校生への支援に本腰を入れており、さらなる拡充が求められている。

 同研究会副会長で調査を実施した育英短期大の栗山宣夫教授によると、入院中でも教育機会を求める声は強いが、「機会がある」との回答は、有効回答40人のうち16人にとどまり、整備の遅れが目立った。希望する教育支援の形態については、院内学級または訪問教育と、遠隔授業の併用を挙げる生徒が計8割に上るという。

 文部科学省の2014年度の調査では、病気やけがで入院した生徒に対し、951の高校のうち、684校で学習指導を実施していなかった。全国的に院内学級の高等部が十分に整備されていない上、高等部があっても単位認定の関係で入院前に在籍した高校に戻れないといった課題が指摘されている。

 こうした実態を踏まえ、赤城特別支援学校では数年前から、在籍していた高校に復学できるよう支援に力を入れている。転入時に生徒の在籍校と復学に備えて事前に話し合ったり、小中学部の教員と連携して全校的な支援体制を構築したりしている。昨年度は希望した7人全員が希望通りに復学をかなえた。

 高等部の教員は「子どもは卒業や復学を目標に治療も頑張れる」と意義を強調する。在籍する男子生徒(3年)も以前の高校で卒業することを目標に勉学に励んでおり、「入院していても先生が病室に来てくれたり、オンラインで授業ができたりしたらいい」とさらなる支援を要望する。

 コロナ禍で遠隔授業の導入も進み、病弱教育への活用にも期待がかかる。長男が長期入院していた50代の女性は学習面でのオンライン化を歓迎する一方、「院内学級は勉強だけでなく、心の栄養の場。心理面のサポートも必要」と訴える。自身の息子も院内学級での軽音楽部の活動などが心の支えになったという。

 栗山教授は調査結果を踏まえ、「受験を意識した支援だけでなく、課外活動や寄り添った支援を求める声も多い。多様なニーズに応えるには対面とオンラインなどを柔軟に併用することが重要」と指摘。「復学支援の必要性が一般の高校にも広く理解され、制度として定着させることも大切」としている。

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