罰則に懸念、戸惑い 改正コロナ特措法案で群馬県内
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 営業時間の短縮要請や入院の拒否に対して罰則を導入―。自民、公明両党が18日了承した新型コロナウイルス特別措置法や感染症法の改正案は、国や自治体の権限強化が盛り込まれた。新型コロナ対策に実効性を持たせるための法改正で、群馬県内の関係者は「感染を抑えるためには仕方がない」と理解を示す一方、「罰則が受診控えにつながる恐れがある」といった懸念や戸惑いの声も上がった。

 午後8時までの時短要請に応じる高崎市のダイニングバー「WADACHI」の吉野崇店長(46)は、命令を拒否した場合の過料に対し「これ以上感染者を増やさないためには、仕方のないことかもしれない」と話す。一方で、要請に応じた場合の補償について「規模の大きい店にとっては、今の金額では低すぎる」と嘆いた。

 太田市の繁華街「南一番街」のキャバクラ店は、県による時短要請には応じず通常営業を続ける。30代男性マネジャーは「過料があるなら時短に応じざるを得ない」と話す。だが、現在示される協力金だけでは従業員を雇い続けられないとして、「現場を見て補償を決めてほしい。生活できない人が増えてしまう」と悲痛な声を上げた。

 感染症法改正案は国や知事などが医療機関に対する感染者受け入れの協力要請を勧告に強化し、従わなければ機関名を公表できるとしたが、県医師会の須藤英仁会長は新たな制度の実効性を疑問視する。民間病院が患者を受け入れやすくするには「重症患者を受け入れる病院と、感染後に患者がリハビリするための民間病院との役割分担の議論や仕組み作りを急ぐべきだ」と指摘した。

 前橋市で新型コロナの疑いのある患者を受け入れる病院の関係者は「既にそれぞれの医療機関が感染症対策に苦慮しながら役割を果たしている」と説明。機関名の公表をちらつかせて対応を迫るような改正案に困惑していた。

 入院拒否した感染者への刑事罰について、中毛地域の病院に勤務する30代女性看護師は「罰則を作れば、症状があっても受診を控えるなどのケースが出てくる恐れがある」と指摘した上で、「勤務先はコロナ以外の患者があふれ、医療崩壊に近い。抜本的な対策を考えてほしい」と訴えた。

 自費でPCR検査を受けた経験のある前橋市の男性(78)は「(罰則導入の前に)検査体制の拡充や検査費の補助など、行政がやるべきことがある」と強調。自宅待機中に容体が急変する事例が全国で相次いでいるとして、「必要な人がすぐ入院できるように、民間病院を含めた受け皿を増やしてほしい」と求めた。

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