ナースコール 不作動か 全従業員が「退職届」 伊勢崎の施設
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「入居者の安全を考えれば、転居してもらうしかなかった」と話す元従業員

 全従業員が一斉に退職届を出した群馬県伊勢崎市の有料老人ホームで昨年8月、入居していた70代男性が呼吸停止の状態で発見された際、手にナースコールのボタンを握ったままだったことが7日までに分かった。男性はその後、搬送先の病院で亡くなった。対応した元従業員は上毛新聞の取材に「ナースコールが作動しなかった可能性がある。きちんと動けば助けられた命だったかもしれない」と打ち明けた。

◎昨年8月 男性が呼吸停止 ナースコール 握ったままに
 元従業員によると、入居男性は昨年8月下旬、吐しゃ物を喉につまらせ、呼吸が止まった状態で発見された。手にはナースコールのボタンを握っていた。すぐに救急車で搬送されたが亡くなった。

 同施設では数年前からナースコールの不具合が頻発し、入居者からたびたびクレームがあったという。入居者の心拍などを測定するセンサーが各部屋に設置されていたが、元従業員は「センサーだとタイムラグがある。入居者の緊急時の訴えなどに対応できないため、会社に再三ナースコールの改善を要求していた」と話す。

 男性の死亡後、再度整備が提案され、昨年末までに新たなナースコールが導入された。元従業員は「安全が十分に保てない環境が長く続いてしまい、入居者に申し訳なかった。人員も基準以下で、サービス継続は困難と判断した」と、一斉退職に至った背景を語った。

◎元従業員「不具合頻発」/運営会社「把握はできた」
 上毛新聞の取材に対し、施設運営会社(前橋市)の社長は「(新たなナースコール導入の)見積もりを取っていたのは元施設長。こちらは導入がだめとは言っていない」と反論し、「高齢者なので亡くなるケースはある。ナースコールよりも優秀な機器を入れているので、呼吸が止まればきちんと把握できた」としている。

 群馬県の有料老人ホームの設置運営指導指針では、ナースコールの設置を義務付けていない。県は「施設によって要介護者の入居状況が異なる。それぞれの実情に応じて設置を検討することが望ましい」と説明している。

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