悲劇繰り返さない 伊勢崎 生徒の事故死きっかけにPTAが安全対策
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約100カ所について危険性を指摘する市東会長

 昨年9月、群馬県伊勢崎市のあずま中学校1年の男子生徒が、交通事故により13歳で亡くなった。遺族が21日までに上毛新聞の取材に応じ、深い悲しみや事故防止への願いを打ち明けた。事故を受けて、生徒の命を守ろうと同校PTAも動きだした。身を守るための動画を作成したり、通学路の危険箇所を洗い出したりする活動を開始。近隣の小学校PTAとの連携も模索し、地域ぐるみの安全対策につなげたい考えだ。

◎事故後の今年1月 現場に「止まれ」の路面標示
 「毎日、遺影に向かって話し掛けている」。男子生徒の両親は、死を受け入れつつも、今なお大きな喪失感を抱えている。朝食と夕食は男子生徒の分も作り、遺影の前に供えるのが日課だという。

 事故は昨年8月27日夕、自宅近くの市道十字路で起きた。男子生徒が自転車で道路を横断する際に、右から来た軽ワゴン車にはねられた。首の骨などを折る重体で救急搬送され、意識が戻ることなく1カ月後に病院で亡くなった。

 両親は、月命日に事故現場に足を運んでいる。十字路には1月、「止まれ」の路面標示が新設された。父親(55)は「信号機はないが、中学生が多く通る場所。二度と繰り返されないよう、生徒もドライバーも気を付けてほしい」と願っている。

 事故を受け、同校PTAの市東剛会長(62)は、生徒に安全な登下校を呼び掛ける取り組みを始めた。ヘルメットの着用や、自転車から降りて道路を横断することを促す動画を作成したほか、地域を巡って危険箇所を撮影。地図アプリ上に注意を要する約100カ所を表示し、標識や横断歩道の必要性を検証している。今後この地図を基に、通学時のリスクを具体的に説明した文書などを配布する予定。

 通学路の旗振りなど、児童生徒の安全確保は地域の協力が不可欠だ。市東会長は、近隣の小学校3校のPTAと連携するため、連絡協議会の立ち上げを目指している。

 事故前の昨年7月、同校PTAでは通学路の危険箇所を把握するため、保護者アンケートを行っていた。市東会長は「せっかく調べていたのに、具体的な行動が足りなかった」と後悔の念を隠さない。「今動かなければ、同様の悲劇が繰り返されてしまう」と、地域に協力を求めている。

◎設置要望の声上がるも…総量見直し 信号機撤去進む 群馬県警
 男子生徒の交通事故を巡り、近隣住民からは事故現場となった十字路に信号機の設置を希望する声が上がる。一方で群馬県警は、適正な維持管理のため数年前から信号機の総量を見直している。

 県警によると、信号機の制御器の更新や電気代、システム維持費などを含めると、県内で保守管理のための支出は年間8億円を超える。交通量の減少などで必要性が低下した信号機については撤去を進めており、2020年度末までの5年間で計75基が撤去される予定だ。

 撤去した場所には一時停止の標識を付けたり、横断歩道の場所を見直したりするなど、別の安全対策を施している。事故予防のための啓発や悪質な運転者への摘発などにも力を入れている。

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