前橋市議選 県議が複数陣営に現金入り封筒渡す 「陣中見舞い」に戸惑う声
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 2月7日投開票された前橋市議選に立候補した複数の陣営に、同市区選出の県議から「陣中見舞い」と称して現金入りの封筒が渡され、市議側に困惑の声が上がっている。群馬県選管によると、公選法などは選挙区内の個人への寄付を禁じる一方で、後援会などの政治団体に対する寄付を認めている。与野党を問わず陣中見舞いのやりとりは慣例化しているとされるが、有識者は「有権者には分かりづらく、誤解を招く行為は注意が必要」と指摘している。

◎「政治団体へ寄付は合法」有権者に分かりにくさ

 関係者によると、陣中見舞いを渡したのは自民党の狩野浩志県議。複数の現職陣営にそれぞれ5万~10万円程度を渡していたとみられる。封筒には「祈必勝」と印字され、狩野氏の名前や金額が記されていた。

 ある現職市議には告示前の1月末、本人の不在時に狩野氏が事務所を訪れ、陣営スタッフに声を掛けて封筒を置いていったという。市議が後で中身を確認したところ、5万円が入っていたことに戸惑い、対応を協議するため弁護士に封筒を預けた。

 別の市議も不在時に狩野氏から5万円入りの封筒を渡された。最初は激励文だと思っていたが、中身が現金だったことに驚き、返還したという。

 いずれも、河井克行元法相らが地元議員らに現金を渡したとして買収罪に問われた事件を念頭に、現金の扱いに困惑したという。

 県選管によると、公選法は政治家が自らの選挙区内の有権者に寄付することを禁じている。これに対し、後援会などの政治団体への寄付は認めており、政治資金規正法で上限を1団体につき年間150万円以内と定めている。一方、受け取った団体側は、寄付については収入として収支報告書に記載する義務がある。

 選挙戦に臨む陣営に対する「陣中見舞い」は慣習として県内で広く行われているという。ある自民県議は「陣中見舞いとして現金を受け渡すことは珍しくない」とした上で、渡す場合は法律に抵触することがないよう適正な処理を申し合わせたり、金額に配慮したりしているという。

 非自民系会派の県議も「政治団体への寄付は認められており、現金の陣中見舞いは通常している」と説明。ただ、受け取り側に、政治資金規正法にのっとって処理してもらうよう念押ししたり、領収書の発行を求めたりして「誤解のないように気を使っている」とする。

 高崎経済大の増田正教授(政治学)は「(寄付する対象が)個人は駄目で、政治団体なら大丈夫というのは抜け道のようで、一般の人には分かりにくく疑念を感じる部分だと思う。(渡した県議側に)どのような意図があったかは分からないが、いずれにしても誤解を招く行為は慎むべきだろう」としている。

 上毛新聞の取材に対し、狩野氏は「弁護士と相談し、対応を検討している」としている。

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