《みんなの疑問 特別取材班》横断歩道 停止率なぜ低い? 車優先の意識根強く 全国下回る13.9%で県警 摘発や啓発に力
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横断歩道は歩行者が優先。渡ろうとしていた場合、自動車は手前で一時停止する必要がある(写真はイメージ。本文とは関係ありません)
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 信号機のない横断歩道を渡ろうとしているのに止まらない車が多いのはなぜ―。こんな疑問が「特別取材班」に届いた。昨年、群馬県内で交通事故で亡くなった45人のうち3人が横断歩道を横断中に事故に巻き込まれている。日本自動車連盟(JAF)の昨年の調査で、歩行者が信号機のない横断歩道を渡ろうとしている状況で一時停止した車の割合が、本県は13.9%と全国平均の21.3%を下回った。一方、隣県の長野は上位を維持し、2018年にワースト1位だった栃木は対策を取り、改善しつつある。

■車の流れ
 歩行者がいたにもかかわらず、止まらなかった経験があるという前橋市の50代の男性会社員は「車の流れがあったら、止まらずに行ってしまう時があった」と振り返る。気付くのが遅れて通り過ぎることもあるが、その理由を「急ブレーキすると危ない」と説明する。

 昨年1年間に県内で発生した交通人身事故は9266件で、横断歩道を横断中の事故はこのうち202件に上った。

 歩行者が被害に遭う事故を減らそうと、県警はコンビニエンスストアや大型商業施設でのチラシやポスターの設置、JR高崎駅の大型ビジョンでの動画放映などさまざまな啓発活動を行っている。

 昨年は「歩行者優先マナーアップ作戦」と銘打ち、警察署の管轄内で1カ所ずつ信号機のない横断歩道を選定し、一時停止率を調査。呼び掛けや取り締まりなどをした後の再調査で、効果を確かめる取り組みもしている。

■思いやり
 JAFによる調査で1位を維持している長野県。JAF長野支部や県くらし安全・消費生活課などによると、信号機のない横断歩道の車の一時停止に特化した交通対策はしていないという。同課の担当者は「『教育県』と言われ、思いやりを重視する県民性が関係しているのではないか」と分析する。

 一方の栃木県。18年に全国平均(8.6%)を大きく下回る0.9%でワースト1位となったが、対策を取る中で翌年には29位(13.2%)に改善した。

 同県警は「止まってくれない栃木県からの脱却」をスローガンに19年4月から「脱!止まってくれない栃木県」のコマーシャル(CM)を地元テレビ局などで放映。横断歩道の両側から相手の元に向かおうとする男女が車に邪魔されて渡れず、いつまでも名前を叫び合う内容で、話題となった。交通企画課の担当者は「少しでも興味を持ってもらえるように心掛けた」と話す。

 20年以降は全国平均以上を目指し、サンリオのキャラクター「マイメロディ」を「止まってくれない栃木県からの脱却」のアンバサダーに委嘱するなど、啓発活動を続けている。

■慣れで慢心
 本県でも県警が啓発活動や摘発を進めるものの、一時停止率が上がらない原因について、交通政策に詳しい高崎経済大の小熊仁准教授(42)は、ドライバーも歩行者も車優先の意識が根強いとし、「車優先の意識や運転の慣れによる慢心はすぐには改善しにくい」とみている。そして、ドライバーの注意喚起のため、既存の交通標識だけでなく、視界に入りやすい目印を横断歩道に設置する必要があると指摘する。さらに、「歩行者も横断する際は車の方を向いて、渡る意思を態度で示すことが重要だ」と話した。

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