アーツ前橋作品紛失 リスト偽装画策か 調査報告書を公表 市が館長ら5人を訓告処分
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 前橋市の美術館「アーツ前橋」が物故作家2人の遺族から預かった木版画と書の計6点を紛失した問題を巡り、同市が設置した「アーツ前橋作品紛失調査委員会」は24日、調査報告書を公表した。住友文彦館長と担当学芸員が当初、作品リストを偽装して紛失を隠したり、紛失の事実を伝えずに遺族の反応をうかがったりすることを画策していたと認定。市は紛失や遺族への報告の遅れなどの責任があるとして、館長ら5人を17日付で訓告処分とした。

 報告書は、紛失判明後の2020年3月、館長と担当学芸員が市文化国際課長らに提案した対応策を問題視。内容は(1)紛失した6作品を除いた作品リストを作成して遺族に渡し、紛失した作品は初めから借用していなかったと伝えるか、連絡せずに遺族の反応を見る(2)22年に企画展を開催し、信頼関係を構築した後、紛失の事実を伝えるか判断する―というものだった。同課長は提案を拒否したという。

 さらに、市長への報告が発覚後3カ月以上たってからになるなど初動が遅れたため遺族への対応が先延ばしになり、遺族への報告が紛失発覚の半年後の同年7月になったとした。

 紛失の原因は、作品調査などの作業過程で紛失したか、作品を保管していた旧前橋二中廃校舎のパソコン室にあった学校備品の撤去時に誤って廃棄した可能性があるとした。職員への保管状況の共有不足や、作品点数の明示がないなど不適切な借用手続きも紛失につながったとした。

 再発防止策として、借用作品を館内で保管するようにしたり、管理などをマニュアル化して職員に周知徹底したりすることを提言。速やかな報告や危機管理体制、職員のコンプライアンス意識の向上など、ガバナンスの強化も求めた。

 市は17日付で、管理監督責任として文化スポーツ観光部長を、作品の紛失や遺族への報告の遅れへの責任として館長と当時の市文化国際課長、当時の副館長、担当学芸員の5人を訓告処分とした。遺族への賠償も検討していく。

 山本龍市長は定例記者会見で、遺族へ改めて謝罪の言葉を述べた上で、再発防止のため「同館の休館期間中(4~6月)に運営や在り方の検討、収蔵作品の再確認をしていく」とした。

 市によると、同館は18年12月に高崎市出身の物故作家2人の作品52点を遺族から預かり、旧前橋二中の廃校舎で保管。昨年1~2月に6点の紛失が判明し、市は11月の上毛新聞の報道後に事実を公表した。

 一方、同館の住友館長は同日、調査報告書と自らへのヒアリング内容に相違があるとして、25日に記者会見を開くことを明らかにした。

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