アーツ前橋館長が偽装画策を否定 作品紛失問題で民事提訴視野に 報告書不十分と反論
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 前橋市の美術館「アーツ前橋」が作家2人(故人)の遺族から預かった木版画と書の計6点を紛失した問題を巡り、「アーツ前橋作品紛失調査委員会」が公表した調査報告書に対し、住友文彦館長は25日、記者会見を開き「(報告書が示した)隠蔽いんぺいやうそはなかった」などと反論した。報告書は自らへの聞き取り内容を十分に反映せず、行政職員を擁護する意図が感じられるとして、民事提訴も視野に入れるとしている。

 報告書は、紛失判明後の2020年3月に住友館長と担当学芸員が、(1)紛失した6作品を除いた作品リストを作成して遺族に渡し、紛失した作品は初めから借用していなかったと伝えるか、連絡せず遺族の反応を見る(2)22年に企画展を開催し、信頼関係を構築した後で紛失の事実を伝えるか判断する―との対応策を検討し、遺族への報告の遅れにつながったと指摘。

 これに対し、住友館長は預かった際にリスト作成をミスした可能性があったと説明。その上で、(1)と(2)の対応策はいずれも「この時点では、もともと作品を預かっていなかった可能性もあった」ために検討したという。他に「作品が見つからない事実だけを伝える選択肢も検討したのに、報告書に記載されなかった」と批判した。

 また、専門職である館長や学芸員から遺族に説明をするべきだと主張したが、市の管理職が認めなかったために報告が遅れたと主張した。

 紛失原因については「報告書が『報告の遅れ』を中心にまとめられ、原因究明は不十分」と指摘。遺族に対しては「深くおわびしたい」とした。

 住友館長の反論に対し、市は「調査委員会に出された資料には、既に公表した対応策以外は示されていない。市は館長らに、遺族にいち早く伝えるよう促していた」としている。

 問題を巡っては、同館は18年12月に高崎市出身の2人の作品52点を遺族から預かり、旧前橋二中の廃校舎で保管。昨年1~2月に6点の紛失が判明したが、遺族には同年7月まで報告されなかった。

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