群馬県内で聖火リレーがスタート きょうまで15市町村173人つなぐ
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栃木県から聖火を引き継ぎスタートする第1走者の見城美枝子さん=30日午前8時40分、館林市
初日のゴールの前橋公園に到着し、聖火を掲げて手を振る猪谷千春さん=30日午後7時40分すぎ
サクラが咲く館林市内を駆ける聖火ランナー=30日午前

 東京五輪の聖火リレーが30日、栃木県から引き継がれ群馬県でスタートした。同日は館林市を皮切りに、前橋市までの7市町村で計91人が希望のともしびをつないだ。新型コロナウイルスの影響により、沿道での応援は一部制限されたものの、ランナーが名所などを巡り、本県の魅力を発信した。31日は渋川市を起点に8市町村を計82人が走り、群馬県のゴールとなる高崎市のGメッセ群馬を目指す。

 館林市のつつじが岡公園から本県のリレーがスタート。大泉、太田、上野、桐生、伊勢崎の各市町村を経由して前橋市の楽歩堂前橋公園へとつないだ。各市町村では、八木節や和太鼓の演奏などで聖火を迎え入れた。

 館林市での出発式では日本遺産「里沼」を表現したバレエが披露されるなど、華やかな幕開けとなった。同市出身のジャーナリストで青森大副学長、見城美枝子さん(75)が「平和な日本を次の世代へ引き継ぐ思いで走った」と、第1走者を務めた。

 初日のアンカーは日本人初の冬季五輪メダリスト、猪谷千春さん(89)=東京都中央区。無事に走り終え、前橋公園に設置された聖火皿に火を移すと、「(スキー技術を磨いた)古里を走れて光栄。スポーツを通じて世界に平和をもたらす理念を、走って伝えたかった」と話した。

 ランナーの応援には、新型コロナ感染予防のため、沿道での声援の禁止などが呼び掛けられたものの、太田市を走ったラグビー・パナソニックワイルドナイツの堀江翔太選手ら著名人が走る一部区間では、観客が密集する状況も生じた。

 31日は渋川市の伊香保温泉・石段街を出発。草津温泉や世界遺産の富岡製糸場などを巡り、群馬県リレーの最終地点となるGメッセ群馬に向かう。

 東京五輪・パラリンピック組織委員会は密集を避けるため、引き続きインターネット中継での観覧や沿道での周囲との距離の確保を呼び掛けている。

 聖火リレーは1日から長野県に移る。

◎聖火ランナーの声

 桜のトーチを掲げ、沿道の県民に見守られながら駆け抜けたランナーたち。手を振り、笑顔を振りまき、応援に応えた。それぞれの思いを込めて聖火をつないだ。

地元走れる喜び
テレビ番組「秘密のケンミンSHOW極」を手掛けるテレビプロデューサー
清水 紀枝さん(48)
館林市で
 聖火を次へつなげることができて達成感がある。地元を笑顔で走り切り、県民の皆さんにも喜んでもらえたらうれしい。

次は指導者で
ロンドン五輪レスリング銅メダル 
松本隆太郎さん(35)
大泉町で
 9年前は自分に精いっぱいだったが、今回はリラックスして臨めた。次は指導者として、群馬県からオリンピック選手を育てたい。

市民に感謝
パナソニックワイルドナイツ
堀江 翔太さん(35)
太田市で
 スポーツの力で世の中を明るくしたくて参加した。お世話になった太田市民に感謝の気持ちを伝えたいと思いながら走った。

村を元気に
上野中1年
小須田沓真とうまさん(13)
上野村で
 地元だけど、会場の雰囲気や多くの人の視線でいつもと少し違って見えた。村を元気に明るくできたらいいなと思って走った。

最高の贈り物
県商工会議所連合会長
曽我 孝之さん(80)
伊勢崎市で
 走る前はすごく緊張していたが、無事に走り切れて良かった。80歳になった年に、最高のプレゼントを頂いた。

五輪成功願う
群馬銀行会長
斎藤 一雄さん(72)
前橋市で
 アテネからつながれてきた聖火をつなぐことができ、充実した200メートルだった。五輪を成功させたい気持ちが一段と強まった。

希望の光共有
ヤマダホールディングス社長
三嶋 恒夫さん(61)
前橋市で
 不安だったが、楽しく走れて良かった。たくさんの方が笑顔で見守ってくれてうれしく、走ることで希望の光を共有できた。

聖火の重み
上毛新聞社長
内山 充さん(67)
前橋市で
 群馬の英雄である猪谷さんに聖火をつなぐ重みを感じた。沿道にいる人たちを見ていて、無事に五輪を開いてほしいと思った。

◎教え子応援受けて車いすで 渋川工業高教諭の岩崎さん

 東京五輪の聖火リレーでは30日、大泉町を渋川工業高教諭でラグビー部顧問の岩崎一芳さん(54)が車いすでトーチを運んだ。

 岩崎さんは新潟大1年の時に、ラグビーの試合中に頸椎けいついを損傷した。それでもラグビー部の仲間に支えられて大学を卒業。県内で初めて車いすの高校教諭になった。

 「岩崎先生、ありがとう!」「頑張れ!」。教え子のラグビー部員たちが手作りの横断幕で応援する中、トーチを固定した車いすを力強くこいだ。

 聖火をつなぎ、「いろんな人の助けを借りて生きている。一生懸命やれるのは皆さんのおかげと伝えたかった」と、晴れ晴れとした表情で語った。

◎各地でミニセレブレーション

 30日に県内7市町村をつないだ聖火リレーでは、式典「ミニセレブレーション」が各地で開かれた。地域住民がダンスや演奏を披露し、世紀のイベントを盛り上げた。

 住民の約2割が外国人の大泉町では、ブラジル人学校「ジェンテ・ミウダ校」の生徒23人が、オリンピックの歴史をギリシャの大衆舞踊「シルタキ」で表現。生徒たちは「本番が一番うまく踊れた」と喜んだ。

 太田市の式典会場の市民会館前では、市内の中高生でつくるオーケストラ「ジュネス」が、「パプリカ」などを演奏し、力強いファンファーレで式典に花を添えた。同市の第1走者、堀江翔太選手が登場すると大きな拍手が起こり、堀江選手はおおたスポーツアカデミーの子ども20人を引き連れて出発した。

 その後、聖火は上野村へ。聖火ランナーの出発前に「十石太鼓保存会」が和太鼓を披露し、上野小では上野、南牧両村民のサポートランも行われた。

 桐生市は、美喜仁桐生文化会館(市民文化会館)前で式典を開き、桐生八木節連絡協議会のおはやしに合わせて桐生八木節キャンペーンスタッフが元気に踊った。同協議会の諏訪郁雄会長(73)は「コロナ禍で出演機会がない中、にぎやかに盛り上げられた。ぜひ五輪を成功させて、桐生も元気になってもらいたい」と期待を込めた。

 この日の最終到着地点となった前橋市・前橋公園は、和太鼓4団体によるステージや、前橋商業高吹奏楽部員の演奏に合わせた「縄跳びダンス」で盛り上がった。

 最終走者の猪谷千春さん(89)が聖火を掲げて会場入りすると市内で合宿を張る南スーダンの陸上選手らが出迎え、260人の来場者はスマートフォンでの撮影に夢中になっていた。前橋五中1年の石川健人さんは「聖火がここまで運ばれてきて、五輪会場までつながると思うと、一生大事な記憶にしようと思った」とかみしめていた。

沿道の県民が走者へ熱い拍手 一部「密」に懸念も 聖火リレー第1日

 東京五輪の聖火リレーが30日、群馬県で始まり、上州路を駆けるランナーを応援しようと、沿道で多くの県民が見守った。ほとんどがマスクを着用し、声援に代えて拍手でエール。各区間では新型コロナウイルス感染防止のため、密を避けるよう呼び掛けられた。

 前橋市での第1走者を務めた前橋桂萱中1年の金井健太郎さん(13)は、沿道の母、朋枝さん(43)にほほ笑んだ。朋枝さんの胸には、4年前に事故で亡くなった夫の誠さん(享年42)の遺影。県庁前で堂々とトーチを掲げる息子に、「主人も天国から喜んでいると思う。悲しい出来事ばかりだったけど、こんないいこともあるんだと思った」と涙を浮かべた。

 陸上選手で共愛学園高1年の恩田未来さん(16)=館林市=は、同市での第1走者、見城美枝子さんの伴走を務めた。「五輪の舞台を意識した。刺激になった」と今後を見据えた。

 ボランティアの津布工孝江さん(67)=同市=は沿道で観衆が密にならないよう呼び掛けていた。「1年以上待っていた。あっという間だったわ」とすがすがしく笑った。

 桐生市の周東知希さん(33)は妻のさち子さん(34)、6カ月の長女、るり子ちゃんと一緒に応援し「盛大で面白かった。映像に残したので子どもが大きくなったら見せたい」。高崎榛名中2年の名取隼はやとさん(14)は「コロナの中でもこういうイベントがあると、明るい未来がやってくる気がする」と声を弾ませた。

 太田市の高橋博さん(52)と妻の公子さとこさん(52)は、同市の第1走者でラグビー・パナソニックワイルドナイツの堀江翔太さんを応援。「一生の記念。コロナの不安もあったが屋外だし、密になるのは一瞬だけと思って来た」と話した。

 一部の沿道では混雑も見られ、新型コロナの感染拡大を懸念する声もあった。

 JR伊勢崎駅でバスを待っていた女性会社員(21)は「人がこんなに集まって大丈夫なのか。感染が怖いので近づきたくない」。大泉町の60代女性は「人が多くて、リレーはあまり見えなかった。コロナ禍なのに、本当に五輪を開催できるのだろうか」と話した。

◎ランタン火2度消える 別のランタンで点火 上野村式典

 上野村勝山のヴィラせせらぎで行われた聖火リレーのミニセレブレーションで、ランタンの火が2度消えるトラブルがあった。約5分後に予備のランタンで点火され、式典が再開された。

 運営側によると、ランタンから点火棒に着火する際に火が消えたとみられる。一度登壇したスタッフがテントに戻り、別のランタンを持って再登壇。再び消えたため、さらに別のランタンで点火棒に着火し、黒沢八郎村長が1人目の走者のトーチに点火すると、会場から拍手が上がった。

 運営の担当者は「風も強くなかったので、なぜ消えたかは不明。別のランタンも用意されていたので、大きな混乱はなかった」とした。

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