群馬県聖火リレー走り切る 2日目は8市町村82人がつなぐ 希望のともしびは長野へ
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聖火リレー到着イベントで聖火皿に聖火を移すタレントの中山秀征さん=31日午後7時40分ごろ、高崎市のGメッセ群馬(代表撮影)
聖火を掲げて笑顔で走る黒岩彰さん=31日午後、藤岡市(代表撮影)
長野原町の区間で最終走者を務めた俳優の町田啓太さん=31日午後3時5分ごろ

 東京五輪の群馬県内の聖火リレーは31日、渋川市の伊香保温泉・石段街から再開し、本県最終地点となる高崎市のGメッセ群馬まで8市町村で、82人が聖火をつないだ。30日から2日間、本県ゆかりのランナー計173人が15市町村の約35キロを走り切り、希望のともしびは次の長野県へ託された。聖火は全国を巡った後、7月23日に東京都の国立競技場で開かれる五輪開会式で聖火台にともされる。


富岡製糸場の正門で聖火をつなぐ井森美幸さん(右)
聖火を掲げる荻原次晴さんを応援する大勢の県民や観光客
笑顔でトーチを掲げる黒岩敏幸さん
満開の御殿桜を背に走る木幡悠紀さん

 再開地点の伊香保温泉では出発式が開かれ、へそ踊りや和太鼓演奏などでランナーを送り出した。聖火は草津、沼田、川場、長野原、藤岡、富岡の各市町村を経て高崎市に向かった。

Gメッセ群馬ではセレブレーション(聖火到着式)が行われ、最終ランナーを務めたぐんま大使でタレントの中山秀征さん(53)がトーチを持って笑顔で入場した。山本一太知事や、ぐんま大使で富岡市の走者を務めたタレントの井森美幸さん(52)らが待つステージに上り聖火皿に火を移すと、会場から大きな拍手が送られた。

 大役を終えた中山さんは「皆さんの笑顔の応援でランナーは聖火をつなぐことができた。まだまだ大変な日は続くが、この炎が希望の明かりとなり、平和な日常に戻ることを願う」と語った。

 山本知事は「今夏の東京五輪は、ポストコロナに大きな一歩を踏み出すことを世界に向けて発信する歴史的なイベントになる」と五輪開催の意義を強調した。
 一部市街地や観光地で観客による混雑が発生したが、大きな混乱もなく全国3番目となった本県の日程は無事に終了した。

 聖火リレーは1日から長野県、3日から岐阜県で実施される。(田中暁)

◎祭典の熱気運ぶ 五輪経験者・著名人らトーチ掲げ走る

 東京五輪の聖火リレーが県内2日目を迎えた31日、群馬県出身の五輪経験者らもトーチを手に各ルートを快走した。沿道に集まった市民に笑顔で応じ、国内で57年ぶりに開かれるスポーツの祭典への機運を盛り上げた。

「非常に光栄 北京で大輪を」
カルガリー冬季五輪銅メダリスト 黒岩 彰さん

 スピードスケートで活躍し、現在は日本スケート連盟でスピード強化副部長を務める黒岩彰さん(59)=東京都=は藤岡市の第2走者を務めた。聖火をトーチにともすと、観客の声援に笑顔で応えた。

 嬬恋高時代から頭角を現し、1983年には世界スプリント選手権で日本人初の総合優勝を成し遂げた。翌84年のサラエボ冬季五輪500メートルは10位に沈んだものの、88年のカルガリー冬季五輪500メートルで銅メダルに輝いた。

 現役引退後は、2018年の平昌冬季五輪でスピード日本代表の総務を担うなど選手のサポート役として尽力。日本オリンピック委員会(JOC)のアシスタントナショナルコーチも務める。

 走り終え「非常に光栄。私の方が感動をもらった気分」と振り返りつつ「東京五輪から力をもらい、北京でもう一度大きな花を咲かせたい」と来年の北京冬季五輪を見据えた。

「若人の活躍を心より祈る」
バルセロナ五輪陸上女子1万に出場   佐藤 美紀さん

 「たくさんの人が沿道から応援してくれて、とても感激した」。高崎市で第16走者を務めた元陸上日本代表の佐藤美紀さん(49)=安中市=は声を弾ませた。聖火を引き継ぐと軽快に走り始め、トーチを両手で高く掲げながら約200メートルをさっそうと駆け抜けた。

 旧姓の五十嵐美紀として活躍を記憶する人が多い。新島学園中3年から競技を始め、高校時代に国体3000メートルで準優勝。卒業後は陸上の名門、リクルートに入社した。1991年の東京世界選手権女子1万メートルで決勝16位に、翌92年のバルセロナ五輪女子1万メートルで同14位に入った。

 近年は市民ランナーとして地元のマラソン大会などに出場、参加者との交流を楽しんでいる。アスリートにとって、五輪は自分を表現する最大の機会。「若い人が大舞台で活躍できることを心より祈っている」とエールを送った。

地元走り感無量
長野冬季五輪スキーノルディック複合に出場
荻原 次晴さん(51)
草津町で
 五輪選手に育ててもらった地元の草津町で走ることができ感無量。五輪を待ち望むアスリートのためにも開催にこぎつけてほしい。

五輪は特別
アルベールビル冬季五輪スピードスケート男子500メートル銀メダル     
黒岩 敏幸さん(52)
草津町で
 やっと聖火をつなぐことができた。選手にとって五輪は人生を変えるほど特別なもの。この火が東京五輪でともされる日を心待ちにしている。

世界平和願う
県観光物産国際協会理事長
市川 捷次さん(75)
草津町で
 世界平和を思い臨んだ。地元でトーチを運べ、感謝している。東京五輪をきっかけに、本県でもインバウンドを促進していきたい。

恩返しと感謝
タレント・ぐんま大使
井森 美幸さん(52)
富岡市で
 何度も行ったことのある富岡製糸場が、いつもとは違う景色に見えた。古里への恩返しと感謝の気持ちを持って走った。

幸せな時間
バルセロナ五輪陸上男子400メートル障害に出場・農大二高教諭  
斎藤 嘉彦さん(49)
富岡市で
 五輪の舞台では観客の顔が見えない中で勝負したが、今日は一人一人の顔がはっきりと見えた。幸せな時間だった。

感動で泣いた
北京五輪競泳男子800メートルリレーに出場
内田 翔さん(33)
高崎市で
 五輪に出ることに人生を懸けていた選手時代を思い出し、感動して泣いてしまった。スポーツの力で世界を笑顔にしてほしい。

トーチ重み記念
群馬ダイヤモンドペガサス前監督 
平野 謙さん(65)
高崎市で
 多くの人が沿道から笑顔で見守ってくれて気持ち良く走れた。トーチは少し重かったが、とても楽しく良い記念になった。

◎パラ陸上・唐沢さん「金で恩返しを」

 東京パラリンピックで陸上5000メートル(視覚障害T11)に出場が内定している渋川市出身の唐沢剣也さん(26)は31日、同市の第3走者として伊香保温泉石段街下の「だんだん広場」を出発した。県道に繰り出すと、観客は一斉にカメラを向け、拍手で送り出した。

 沿道から名前を呼ばれると、声の方向に笑顔を向けてトーチを掲げてみせた。200メートルほど先で次のランナーに聖火を託した。

 唐沢さんは「たくさんの人に拍手を頂けて楽しかった」と振り返った。東京パラリンピックには「金メダルを取って地元に恩返しをしたい」と意気込んだ。

 同市村上西自治会の吉井浩会長(63)が伴走し「事故なく次のランナーに引き渡したい思いで走った」と笑顔を見せた。

◎閉校の児童 サポートランナーで走る 長野原一小14人

 長野原町の聖火リレーには、31日で閉校した長野原一小の児童14人が第1走者のサポートランナーとして参加した。八ツ場ダム建設に伴い水没地区から高台に移転した川原湯温泉湯かけ広場のミニセレブレーション会場から、約100メートルを元気に走った。

 第1走者でスキーノルディック複合選手の小林朔太郎さん(20)=慶応大、長野原高卒=の後に児童が続いた。

 この日は、八ツ場ダムの水没地区にあった旧木造校舎と、高台の新校舎での計111年間の最終日。ダム建設に翻弄ほんろうされて児童数の減少に拍車が掛かり、移転後わずか19年での閉校となった。

 長野原東中に進学する金子蓮矢君(12)は「小学校にはいろんな歴史があり、さみしい気持ちもあるが、(聖火リレーが)すごくいい思い出になった」と感慨深い様子だった。

 新学期からは5年生として新生校「長野原中央小」に通う八木昴志君(10)は「学校がなくなるのは悲しいけど、聖火ランナーと一緒に走っていい思い出ができた。いっぱい友達をつくりたい」と話し、新しい学校生活への期待をにじませた。

 ミニセレブレーションの開会前には同校児童を含む24人の長野原ジュニアダンスクラブのメンバーが「パプリカ」を踊り、会場を盛り上げた。(関坂典生)

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