前橋のCSF 1万頭の殺処分を開始 経路調査や埋却には課題も
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養豚場内で殺処分などの作業に当たる県職員ら=3日午前(県提供)
県の担当者に質問する参加者

 前橋市内の養豚場でCSF(豚熱)に感染した豚が確認されたことを受け、群馬県は3日、この養豚場が飼育する豚約1万頭の殺処分を本格的に始めた。CSFウイルスの拡散を防ぐため、24時間態勢で作業している。殺処分、埋却、施設の消毒といった一連の防疫措置は20日ごろまでかかる見通し。国と県は感染経路の解明を進める。

 県によると、殺処分は2日夜から始まり、3日午後3時までに県職員や自衛隊員ら約190人が作業し、全体の約1割に当たる1224頭を処分した。殺処分数は1日に1000頭を目標としている。

 県が対応のための拠点を設けた宮城体育館(同市鼻毛石町)では、県職員らが防護服に着替えて大型バスで養豚場に向かっていた。1チーム約60人が、養豚場で計6時間作業をしており、4交代制を組んでローテーションしている。

 一方、感染経路を究明する農林水産省の疫学調査チームも同日昼すぎ、養豚場に入った。関係者への聞き取りや施設の状況を確認したとみられる。

 県は養豚場近くに消毒ポイントを設置し、通行する関係車両を消毒している。また、同市苗ケ島町内の道路を同日午前5時から13日午後5時まで通行止めとする。

 課題となっているのは、殺処分された豚の埋却地。県は同日午前、住民向けの説明会を開き、養豚場から約5キロ離れた養豚場が保有する土地に埋める方針に理解を求めたが、生活への懸念や事前の説明がないなどとして住民からは反対や疑問の声が上がっている。

 前橋市内の養豚場では2日、生後100日程度の豚20頭のCSF感染が判明。いずれも生後50~60日の適切とされる時期にワクチン接種を終えていたが、3月中旬以降、150頭ほどが相次いで死んでいたという。(まとめ 稲村勇輝)

◎「連絡なかった」「なぜこの場所」 近隣住民から不安の声 前橋CSFの埋却地決めで


 「連絡がなかった」「なぜこの場所に」―。CSF(豚熱)感染が判明した前橋市の養豚場での殺処分が本格化した3日、県が埋却地の近隣住民向けに開いた説明会。住民側から事前の説明がなく埋却地が決まり、作業が進んでいることに対する疑問や不安の声が相次ぎ、県側は約2時間にわたり説明に追われた。

 説明会は近隣の住民や市議ら約50人が参加。住民側は「家の近くなのに県や市から連絡がなかった」「なぜこの場所になったのか」と説明を求めた。「埋却地の近くには水源があるが、影響はないのか」と環境への影響を心配する人もいた。

 これに対し、県の担当者らは埋却地の選定理由として、養豚場が保有する土地で埋却できる広さがあり、周囲の民家が比較的少ないことなどを挙げた。「飲料水への影響はない」とも説明した。

 終了後、出席した40代男性は「昨日の夕方には分かっていたのに、近隣住民に連絡しなかったのが問題。事前に話があればスムーズに進んだはずだ」と指摘。60代男性は「早く処理したい県の考えは分かるが、その土地で暮らす人間のことも考えてほしい」とした。

 上毛新聞の取材に対し、県は「感染拡大を防ぐため、作業は中断せずに進めていく。丁寧に説明し、住民に理解を求めていきたい」とした。

 一方、殺処分の補助に当たる県職員らは3日、拠点となる宮城体育館(同市鼻毛石町)で防護服を着込み、養豚場に向けて出発した。約60人1チームの4交代制で、24時間態勢で作業に当たっている。男性職員(48)は「殺処分は悲しいが、県の畜産業を守り、病気を広げないため、やむを得ない」と述べた。3日から4日連続で作業予定の男性職員(46)も「殺処分は心が痛いが、なんとか感染が広がらないようにしたい」と話していた。
(まとめ 高木大喜)

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