大久保は問う~女性連続殺人から50年(7)支援 「魂への犯罪」寄り添う
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保健師の資格を持つ相談員の女性。前職で性暴力の被害を目の当たりにし、力になりたいと2018年から働く=3月

 柔らかな色の壁紙に観葉植物。テーブル、椅子、床の木目まで臨床心理士の意見を反映させた。訪れた人が心を許し、話しやすくするための工夫という。

 「Save ぐんま」の部屋は高崎市の産婦人科、佐藤病院の中にある。「県性暴力被害者サポートセンター」が正式名称。強制性交をはじめ、さまざまな性暴力の被害に遭った人たちの相談に乗ったり、病院や県警、自治体への付き添いをしたりしている。

 「穏やかに、話してくれるのを待ちます」

 相談員の女性はこんな心構えでいる。1時間半余りの電話相談でも、決して焦らせない。傾聴する中で考える。診察か、警察への相談が先か、それとも―。何度も話してもらうと被害者の負担が増えるため、同時並行で同僚が必要な情報を調べる。「回答できることはその場ですぐ答える」

 性犯罪や性的虐待を含めた「性暴力」。半世紀前の大久保清元死刑囚=1976年執行、当時(41)=による事件は、それが殺人へつながった最悪のケースだった。「被害者への支援」が注目されるようになったのはつい最近のことだ。

 「Save ぐんま」は2015年に発足した。怖い、知られたくない、2次被害に遭わないか、証拠を求められるのでは―。そうした理由で警察に行けない人の受け皿になろうと、被害者支援センター「すてっぷぐんま」や関係機関が連携して設けた。延べの相談件数は18~20年度は年300~400件台に。一緒に警察や病院に行ったケースも18年度が32件、19年度が72件、20年度(2月末まで)が38件あった。

 これらの数は「氷山の一角」(事務局の桜井忠信・すてっぷぐんま事務局長)で、表面化しない事例が無数にあるとの見方が強い。

 相談しても被害は変わらない、処罰を望めばまた負担が増えるかも…。背景には、こんな心境があるとされる。一方で、テレビや映画がきっかけで5年、10年後に症状が表れたり、戦争よりも心的外傷後ストレス障害(PTSD)になりやすいとの指摘も。「性暴力は身近にあり、被害は甚大だということを、まずはもっと広く知ってほしい」

 「Save ぐんま」は医療機関と協力し、被害者が警察に届け出る前に、犯人が残した資料を採取し、保管する取り組みもしている。これまでの保管は7件で、警察への届け出はまだない。被害者が、被害を早く忘れたいという心理が強いことがうかがえる。

 相談してくれた被害者の年齢層は、20歳未満と20~39歳がそれぞれ3割で、合わせて6割超を占める。若年層ほど電話を使わず、時間帯的に使えないケースも多い。電話以外でも相談できるツールを充実させ、誰にも打ち明けられず苦しみ続ける人を一人でも減らすようにしたいという。

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