2年ぶり現地・藤岡で追悼 関越道バス事故から9年 「ようやく来られた」最愛の家族しのぶ
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事故現場近くの献花台に手を合わせる遺族ら=29日午前4時40分ごろ、藤岡市岡之郷(代表撮影)

 群馬県藤岡市の関越道で2012年に乗客7人が死亡、38人が重軽傷を負った高速ツアーバス事故は29日で9年を迎えた。新型コロナウイルスのため昨年は現地での追悼を断念し、2年ぶりに訪れた遺族らの姿もあった。事故が発生した午前4時40分ごろ、雨が降る中、遺族ら約20人は事故現場直下に設けられた献花台に手を合わせ、最愛の家族をしのんだ。

 「ようやく来ることができた。母はここにいるような気がするので…」。バスに一緒に乗り、母の郁子さん=当時(49)=を亡くし、自身も重傷を負った林彩乃さん(32)=富山県高岡市=は現地を訪問できたことで、ほっとしたような表情を見せた。

 昨年は新型コロナの影響で来られなかったが、今年は追悼の時間をずらして訪問した。献花台に郁子さんが好きだったキャラクターのぬいぐるみを置き、近況を報告したという。母のいない生活に慣れてきたとしつつも、「家族と会話すれば、『これお母さんが好きだったよね』『一緒に行きたかったな』といった話題になる」と、郁子さんの存在の大きさを改めて感じると打ち明けた。

 事故で母の直美さん=当時(44)=を亡くした県警巡査長の山瀬俊貴さん(28)=前橋市=は、長女(1)らと共に手を合わせた。山瀬さんは「母の命日に初めて娘を連れて来た。大きくなった娘の姿を見てもらいたい」と目を細めた。

 山瀬さんは県警交通機動隊に所属し、白バイでの交通違反の取り締まりなどに当たっている。昨年は会えなかった遺族の顔を見ることができて、警察官を目指した際の気持ちを改めて思い出したという。「高齢者の事故や子どもが巻き込まれる事故が多くなっている。事故を一つでも減らしたい」と使命感を新たにした様子だった。

 現場近くの観音寺には、犠牲者の名前が刻まれた供養塔がある。遺族らと交流を続ける広瀬雅敏名誉住職(75)はこの日、読経を上げ、「コロナで現地に来られない遺族は多い。できることは何でもしていきたい」と話した。
(高木大喜)

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