コロナワクチン、群馬県内は9市町村長が既に接種 「危機管理上の対応」 住民からは「不公平」の声も
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 新型コロナウイルスのワクチンを巡り自治体首長の「先行接種」が全国で波紋を広げる中、群馬県内で9市町村長が接種していたことが14日、上毛新聞のまとめで分かった。伊勢崎市は「危機管理上、必要な対応」と説明。他の町村は当日キャンセル分の廃棄を防ぐ目的や、住民と同じ手続きで受けたとしている。自治体トップの先行接種に対し、住民からは理解を示す声の一方、「不公平」との意見も。識者は「住民の理解を得る丁寧な説明が重要」と指摘する。

 県と35市町村によると、ワクチンを受けたのは他に榛東、吉岡、上野、下仁田、嬬恋、草津、板倉、邑楽の各町村長。

 4月下旬に1回目の接種を受けた伊勢崎市の臂(ひじ)泰雄市長(68)は14日、市役所で会見し「(自身が)打てる状況になったら打ってほしいとお願いしていた」と説明。市の担当課を通じ、伊勢崎市民病院に4月中旬ごろ要望したという。「私が感染すれば(市の感染症対策が)停滞することになる」と述べ、危機管理上必要な措置だったと強調している。

 邑楽町の金子正一町長(78)はワクチンの当日キャンセルが出たため接種した。町はキャンセル発生時の対応を事前に決めており、会場のボランティアや町長らが接種対象だった。こうした取り決めについて一部町議から「公表すべきだ」との声が上がり、町はホームページで公表した。

 このほか、榛東村の真塩卓村長(74)、吉岡町の柴崎徳一郎町長(73)、嬬恋村の熊川栄村長(73)、草津町の黒岩信忠町長(74)、板倉町の栗原実町長(72)も当日のキャンセル分を接種した。

 上野村は65歳未満の一部住民にも対象を広げており、黒沢八郎村長(59)は住民と同じ手続きで受けたという。下仁田町の原秀男町長(68)も高齢者枠で予約、接種したとしている。

 一方、ワクチンを未接種の首長のうち、甘楽町の茂原荘一町長(73)は、同地域の優先接種対象年齢に達しているものの、「住民が優先」との考えから予約を入れていないという。南牧村の長谷川最定村長(67)は「ようやくLINE(ライン)で1回目の予約ができた」と話した。

 首長が優先して接種すべきかについて、受け止めは分かれる。伊勢崎市の70代男性は「要職にある人は先に接種したほうがいい。もし感染すれば政治も停滞してしまう」と理解を示す。別の70代男性は「みんな予約に苦労しているのに」と不公平感を口にした。
(まとめ 真下達也)

◎「事前に説明  公表が必要」

 高崎経済大の佐藤徹教授(自治体経営論)は、いち早くワクチンを受けた県外の一部首長に批判が集まったことを挙げ、「接種の優先順位や首長らが先行接種する必要性などを、あらかじめ住民や議会に丁寧に説明、公表しておく必要があった」と指摘。「急に横から割り込まれたという印象を持つ住民も少なくないだろう。今回の件は、行政の『公平性』『説明責任』『透明性』の観点から問題がなかったか検証する価値がある」としている。

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