「7月中の接種完了を」 高齢者ワクチンで総務省が太田市長に電話で念押し 政府の姿勢浮き彫りに
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 希望する高齢者への新型コロナウイルスワクチンの接種完了時期の見通しに関する国の調査に絡み、総務省の担当課長が群馬県の清水聖義太田市長に直接電話し、見込みを前倒しして7月末までとするよう念押しをしていたことが14日、分かった。他の複数の自治体にも県を通じて同月末までの接種完了が要請されていた。菅義偉首相が掲げた「7月末までの接種完了」に向け、躍起になっている政府の姿勢が浮き彫りになった。

 清水市長は5月15日付の市広報のコラムで、同省交付税課長から4月下旬に電話があったと紹介している。同市は当時、接種完了の見込みについて「8月末以降」と県に報告していたが、交付税課長から1カ月前倒ししてほしいと言われたという。

 「接種を早めろと言われても、それは無理。ワクチンの量と配布予定を明確にしてくれないと」と清水市長が現場の要望を伝えたところ、交付税課長はワクチン配布を急ぐと約束し、「とにかく、7月中に高齢者の接種を終えてください」と念押しして電話は終わったという。

 市は集団接種の会場を当初の3カ所に数カ所追加して態勢を増強する方針で、調査への回答を「7月末まで」に上方修正した。上毛新聞の取材に清水市長は「こうした電話は初めてで驚いた。接種はなるべく早く打てるようにしたい」と話した。健康づくり課は「早期接種に向け、できる限りのことをやりたい」としている。

 コラムで清水市長は、菅首相が7月末までの接種完了を約束したのを受け、全省庁が動いているのではないかと推測。「ワクチン接種を終え、オリンピック直後の衆議院解散の準備を急いでいる感じがする」との私見を示した。

 また、桐生市は国の調査に対し、接種完了の見通しを「10月末」と回答。その後、県から前倒しの要請があったため、地元医師会に接種の日程調整を依頼するなどして態勢の再構築を急いでいる。

 「8月中」と回答した別のある自治体の担当者は「医師の日程を考えると、7月中には間に合わない。自治体の回答の中には、希望的観測を含むものもあるのではないか」と首をひねる。

 総務、厚生労働両省は今月12日、全国の86%に当たる1490自治体が7月末までに高齢者の接種を完了する見込みだとする調査結果を発表した。県内では全体の82.9%に当たる29自治体が7月末までの見込みと回答している。
(小泉浩一)

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