銭湯がコロナ下で奮闘 県内12軒、廃業ゼロ 常連客に支えられ
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常連が絶えない利根の湯。脱衣所の風景は40年以上前に新築した当時とほとんど変わらない=15日午後4時すぎ、前橋市紅雲町
 

 長年減り続けてきた群馬県内の銭湯が、新型コロナウイルス感染症の影響下でも奮闘している。感染拡大で社会が混乱したここ1年間に廃業した銭湯はなく、多くの愛用者に支えられ、持ちこたえているという。それでも、県内に残る銭湯はわずか12軒で、20年前の3割以下。地域住民の憩いの場を存続させるためにも、県公衆浴場業生活衛生同業組合(県組合)は「銭湯の大きな湯船でぜひストレス解消を」と呼び掛けている。

 15日夕、前橋市紅雲町の銭湯「利根の湯」にはなじみの客が次々に訪れ、熱めの湯に気持ちよさそうに漬かった。

 1947年に開業し、73年に経営を引き継いだ寺田夏雄さん(80)が、妻の陌子さん(77)と切り盛りする。寺田さんは「コロナの影響はあるが、常連さんに支えてもらっている。元気なうちは続けたい」と笑った。

 全国公衆浴場業生活衛生同業組合連合会(全浴連)などによると、県組合加盟の銭湯は1971年には203軒あったが、91年には71軒にまで激減。その後も減少は止まらず、2001年に44軒、11年に27軒、19年に17軒、20、21年は12軒となった。一般家庭への風呂の普及や設備老朽化に加え、近年では後継者不足が廃業の一番の要因になっているという。

 そんな逆境にある銭湯業界だが、新型コロナの影響は今のところ限定的だという。伊勢崎市緑町で「寿美乃湯」を営む県組合の馬場大理事長は「常連客が訪れる頻度を減らす例はあったが、経営を圧迫するような大きな影響はなかった」とこの一年を振り返る。

 公営の入浴施設などが一時休業を選択する中で、「大きな風呂に入りたい」という一定の需要も取り込んだとみられるという。それでも長期的な影響について馬場理事長は「現時点では何とも言えない」と不安な胸中を明かす。

 一方で、光明もあるという。最近は1人暮らしの若い世帯が増えたことで、仕事帰りに銭湯に立ち寄るサラリーマンらの姿がみられるようになった。客層に変化の兆しが出るなど、新たな顧客の開拓にも期待が持てるという。

 馬場理事長は「銭湯は湿度も高く、ほかの施設と比べて感染リスクが高いということはない」と指摘。「手足を伸ばしてゆっくり湯船に漬かり、日ごろのストレスを発散してほしい」と利用を呼び掛けた。
(まとめ 寺島努)

 【メモ】銭湯の入浴料は県が上限を定めており、12歳以上400円、6歳以上12歳未満180円、6歳未満80円となっている。県組合によると県内の大半の銭湯がこの金額にそろえているが、基準より低価格に設定している施設もあるという。

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