複数の期間に無施錠 「盗難疑いも」作品紛失問題で調査委 報告書には記載せず アーツ前橋
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 前橋市の美術館「アーツ前橋」が作家2人(共に故人)の作品計6点を紛失した問題で、作品が最後に確認された2019年3月26日から、紛失が発覚したとされる20年1月6日までの間、保管場所の旧前橋二中が複数の期間、解錠されたままの状態だったことが上毛新聞が請求した情報公開資料で分かった。紛失時期は19年12月4日以前とみられることも判明。「誤廃棄の可能性」を紛失の主な原因に挙げた市の調査報告書(3月公表)と異なり、調査資料では盗難の可能性も検討した記載があった。

 開示された調査資料によると、旧二中が解錠されたままだったのは19年7月27~28日と、同年8月25日~9月1日。第三者を含め、鍵がなくても出入りが可能だったが、解錠状態にあったことは報告書に記されていなかった。鍵は市教委が管理しているが、紛失発覚以前は貸出簿などの記録は取っていないという。

 また、19年3月26日に担当学芸員らが借用作品を調査した際に撮影した写真と、同年12月4日に副館長(当時)らが作品と学校備品とを区分けした後に撮影した写真を比較したところ、壁に立て掛けてあった作品がなくなっていた。副館長らは聞き取りなどで「作品は動かさずに線だけ引いて不要備品と分けた」と話しており、同日までに作品が紛失していた可能性がある。12月20日に学校の不要備品の撤去作業に当たった職員や技士10人も、作品を目にした記憶はないなどと証言していた。作品には全て落款があったという。

 「誰かが持ち出した可能性もある」などと関係者が話していたほか、遺族が盗難の可能性を含めた調査を希望したことから、担当者は前橋署に相談を持ち掛けていた。

 調査資料では、調査委員会の事務局を務めた現館長の田中力市文化国際課長や同館関係者の「証言から誤廃棄の可能性は限りなく低い」「12月4日の時点で既にこの場所になかった可能性が高い」との見解が記載。一方、報告書では「撤去作業時に学校備品と一緒に廃棄されてしまった可能性がある」と記され、紛失原因の表現にずれがあった。

 上毛新聞の取材に、田中課長は「誤廃棄の可能性は低かったが、原因にはなり得ると考えた。報告書の内容が調査期間で調べた限りの結果だ」と強調。山本龍市長は「そもそもの原因は管理体制不足に行き着く」とし、再調査はしないとの考えを示した。

 報告書を巡っては、紛失を隠そうとしたと指摘され、管理責任を問われた前館長の住友文彦氏が「なくなった原因を究明する調査がほとんどなされていない」などと批判している。
(まとめ 栗原綾菜)

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