《開業100年 新前橋-渋川》群馬総社駅 「悲願の西口開設かなうね」 移りゆく姿を静かに見守る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
約60年前に群馬総社駅前で披露された盆踊り(関口さん提供)
駅舎の前で子どもの頃の思い出を語る関口さん

 「よく駅員さんと野球をしたよ。すぐ土ぼこりが舞うんだ」

JR群馬総社駅(前橋市総社町植野)の真向かいで生まれ育った、関口常孝さん(83)が子どもの頃の話だ。当時、発着する列車は1時間に1本程度。次の列車が到着するまで、駅員が遊び相手になってくれた。

 レールのひずみを直す作業員もいた。駅舎に隣接する風呂場で汗を流し、さっぱりした表情で官舎に戻っていく姿を覚えている。

 40年ほど前、母が終戦直後に始めた商店を継いだ。菓子や日用品、酒を扱っていたほか、店の脇で自転車の預かり業もやっていた。市が駅に駐輪場を設置した1996年まで、常時約30台の自転車を預かっていた。

 慌てた様子で自転車を預ける学生、疲れた顔をして家路に就く会社員―。どんな人にも「行ってらっしゃい」「お帰りなさい」と声を掛けるのが日課だった。

 通勤、通学する人たちのために元日以外は営業した。約20年前、利根川に上毛大橋が完成すると、それまで前橋駅を使っていた南橘や富士見地区の住民も乗り降りするようになり、時間帯によっては駅が混み合うようになった。

 現在、駅には東口だけしかなく、市は今後、西口を開設する計画だ。かつて、駅舎建設時に西口を設ける計画もあったという。「東だ、いや西だと争っていたらしい。100年たってどちらにも出入り口ができる。周辺住民の悲願がかなうね」と目を細める。

 昨年10月に、70年以上続いた店を閉めた。「80歳になったら」と考えていながら踏ん切りがつかなかったが、新型コロナウイルスの影響で客足が遠のいたのを機に決断した。「店に寄ってくれた人とすぐ友達になっちゃってたから、何だか寂しいけど」。今後は移りゆく駅の姿を静かに見守っていく。(吉越琴野)

 【群馬総社駅】近隣地域の人口増加に伴い、駅利用者も増加傾向にある。2019年度の1日平均乗車人員は1725人。前橋市は線路をまたぐ東西自由通路を設置する計画で、駅舎や西口広場のデザインに総社地区らしさを取り入れるほか、市道の整備も進める。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
関連記事