《現場発》少子化進む山村で子育て 親切支えに奮闘 心配事は医療と友達 小児科へ遠距離通院も
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紬ちゃんを笑顔で見守る(左から)祐太さん、綾奈さん=今月上旬、南牧村大日向

 国が昨秋実施した国勢調査の結果速報が25日に公表される予定だ。群馬県関連では前回調査で65歳以上の人口割合が60.5%と全国市町村最高だった南牧村や、人口が1230人と県内最少だった上野村の動向なども注目される。昨年度に産まれた赤ちゃんの数(出生数)は上野、南牧に神流を加えた3町村がいずれも4人と1桁にとどまった。少子化が進む地域で奮闘する夫婦に、コロナ下での出産や子育てを聞いた。

 南牧村の佐藤綾奈さん(26)は最初の緊急事態宣言が解除された後の昨年6月、実家のある埼玉県所沢市内の病院で長女、紬(つむぎ)ちゃん(1)を産んだ。入院中はコロナ感染を防ぐため、面会や出産立ち会いが禁止に。夫の祐太さん(26)と紬ちゃんの面会も、ガラス越しの15分だけだった。

 結婚を機に2年ほど前に同市から移住した綾奈さん。公共交通を使う暮らしから、車社会でスーパーもない村での生活は「ギャップしかなかった」。

 それでも次第に村にひかれていった。「人が親切。自然豊かでコロナ下でも子どもの遊び場に困らない」。人が少ないため住民が名前や顔を覚えていて、紬ちゃんと散歩中も声を掛けられる。「『この辺りで赤ちゃんなんて何十年ぶりだろう』と喜ばれる」と笑う。

 心配事は医療と友達だという。村に小児科医がいないため、富岡市の病院まで通う。娘の将来を考えると「小さい頃から多くの人と関わることは大切。同世代の子が増えたら」と願う。

 上野村の湯沢誠さん(41)と妻の昌子さん(37)は8年ほど前、同県久喜市から村に引っ越した。3月29日には三女の明日葉ちゃんが産まれた。

 昌子さんは出産約2カ月前から、藤岡、渋川両市の病院に入院。藤岡ではコロナ対策のため面会はなく、荷物も看護師経由だった。

 村にはへき地診療所があるものの、小児科はない。通院には車で片道1時間以上かけて富岡市や甘楽町に出向く必要があるが、湯沢家では村が本年度から導入した医療相談アプリ「LEBER(リーバー)」を活用。誠さんは24時間いつでも医師に相談できて便利だとし、「移住前より村の方が安心感があるほど」と続けた。

 少子化や子育て支援について上野村の担当者は「子どもが自ら学び育つ『子育ち』なども含め、総合的な支援を続けることが大切」と強調。南牧村の担当者は「出産を義務としないよう、村として出生目標は立てていない。改修した空き家の紹介や祝い金支給などで、子どもや子育て世帯を増やしたい」と話した。(黒沢豊)

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