《世界遺産登録7年 あすを紡ぐ②教育》絹文化触れる機会を
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高山社学の一環で高山社跡を見学する藤岡神流小の児童

 「高山社はいつからあったのか」「養蚕の指導はなぜ必要だったの」―。17日、群馬県の藤岡鬼石北小4年生が受けた「高山社学」の授業。高山社情報館(藤岡市高山)の佐藤裕彦館長(65)とリモートでつなぎ、児童7人が事前に考えた質問を解説してもらって高山社の役割や歴史を学んだ。佐藤館長は「これを機に、高山社や養蚕にもっと興味を持って」と呼び掛けた。

多角的に功績

 高山社学は2013年度に同市内の全小中学校でスタートした。理科や社会、道徳、総合学習の時間を活用し、養蚕を大きく発展させた高山社を系統的に学ぶ。高山社跡の見学に加え、蚕の飼育体験、創設者の高山長五郎らの功績学習など多角的な内容で、市教委学校教育課は「9年目を迎え、各校で授業内容が定着してきた。タブレット端末活用など新しい学習も進めている」とする。

 本年度は初めて、小学校入学時から高山社学に取り組んできた生徒が中学卒業を迎える。八巻凱斗さん(藤岡東中3年)は「全国に養蚕技術を広めた高山社があったことは地域の誇りになる」と話し、相見桃花さん(同)は「(高山社学を通して)貴重な経験ができ、地元について学ぶきっかけになった」と振り返る。

 一方、「富岡製糸場と絹産業遺産群」の構成資産がある4市町(富岡、伊勢崎、藤岡、下仁田)以外の児童生徒が「身近な世界遺産」として理解を深める機会は、その手段や時間の確保が難しい現状がある。

マンパワー減少

 県は、子どもへの絹文化継承の一環として「校旗を作ろうプロジェクト」を15年度に開始。学校で蚕を飼育し、できた繭を使って校旗を作る同事業は、東毛や北毛からも参加があり、当初計画から1年間延長したものの19年度で終了した。同一校の参加が続きマンネリ化したことや、機構改革による世界遺産課の廃止でマンパワーが減少したことなどが理由という。

 参加していた東毛地域の小学校は「児童が愛情を持って取り組み、世界遺産もストーリー性をもって学ぶことができた」と事業を評価する一方、19年に日本遺産に登録された館林市の「里沼」の学習時間を確保する必要性も指摘。担当者は「校旗作りの終了を機に、里沼学習へシフトしつつある」と打ち明ける。

 絹文化継承事業として、県は世界遺産登録前の05年度から、座繰りなどを体験できる「学校キャラバン」を継続。県立世界遺産センターによると、これまで217回実施しており、約半数が4市町以外の学校で行ったという。本年度実施予定の渋川南小は「絹文化を児童が体感できる貴重な機会」と意義を強調。「可能な限り続けたい」としている。

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