ワクチン予約停止の安中市 必要以上の量要求して他市へ融通 配分急減が追い打ち 見通しの甘さ指摘も
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 新型コロナウイルスワクチン接種を巡り、6月下旬に群馬県内で初めて64歳以下の新規予約を一時停止した安中市。「なぜ安中だけが」との疑問が寄せられた。主因は今月以降の引き渡し分から国のワクチン配分が急減したためだ。一方、市はそれ以前に必要量を大幅に上回るワクチン数を国に要望しつつ、「余剰となりかねない」として約1万1000回分を他市に融通するなど、そのうち3分の2を手放していた。在庫を減らした運用に、配分減が追い打ちとなった。情報が乏しく振り回された形だが、見通しの甘さを指摘する声もある。

多めに要望

 県や市によると、市は4月28日、国に要望する5月24日からの2週間分のワクチン量について市医師会と協議。当時は供給量が不透明で必要量を確保できる保証はなく、「多めに求めておく」と方針を決めた。

 5月10日、市が要望した通りに26箱(約3万回分)が配分されることや、使用期限が8月末であるとの見通しが県を通じて伝えられた。ところが、要望通りの配分は市にとって「想定外」。当時の態勢では、集団と個別を合わせても週2700回程度しか接種できず、保管する超低温冷凍庫の容量も乏しいため、期限内の使用は不可能な状況だった。

 市は医師会と再び協議して、国からの配分量を18箱(約2万千回分)に減らしてもらうことを決定。さらに県に対し、過剰分を他市町村に引き渡したいと申し出た。調整の結果、6月5日に前橋市が10箱(約1万千回分)を引き取ったという。

過剰在庫なしに

 市は要望に近い量が配分されたことを踏まえ、その後は安定供給されていくと判断。過剰在庫を抱えず使用量に応じて要望する方針に改めた。ところが今月5日からの配分量が突然、要望量の約半分になってしまうことが6月下旬に判明。高齢者を優先するため、64歳以下の接種を停止せざるを得なくなったという。

 事情を知る市民らからは「1万千回分ものワクチンがあれば、64歳以下の予約も停止する必要がなかったのでないか」などと疑問視する声が寄せられている。これに対し、市は、配分の急な削減などは見通せなかったとした上で、「ワクチンには使用期限があり、その時々に応じた在庫管理をしなくてはならなかった」と理解を求める。

 県によると、情報不足の中で安定的に接種するため必要量より多くワクチンを要望する自治体は他にもあるという。県は市町村間の過不足を調整しているが、配分が急減したことで難しくなっている。予約停止を余儀なくされた安中市の対応については、「タイミングが悪かった」とする。

 県の調整で、市は他の自治体から新たに2箱を調達できたが、それでも予約再開のめどは立たない。県に引き続き、自治体間の調整と国への働き掛けを求めている。市は「早期の予約再開に向けてワクチン入手に努めたい」としている。
(田島孝朗)

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