《届け!エール 東京五輪》努力惜しまぬ姿、信頼 水球・志賀光明選手の母・志賀築子さん(前橋)
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「群馬ジュニア水球」の子どもたちを教える築子さん。礼儀や身だしなみを何よりも大切に指導している

 「もう1年やります」。水球男子代表の志賀光明選手(29)は五輪延期が決まった後、モチベーション維持に不安を明かしていたが、決意を固めた。それを聞いた母の築子さん(64)=群馬県前橋市=は「(志賀選手の)右サイドは体力がないと話にならない。選手にとっての1年は相当重みがあると思うが、やるかやらないかは全て本人に任せていた」と信頼を置く。

 小学3年の時に志賀選手は競泳から転向し、築子さんが指導する「群馬ジュニア水球」に通い始めた。親子でも手加減は一切なし。「光明が小さい頃から『プールサイドでは親じゃないからね』と言ってきましたから」と築子さん。練習中に子どもたちがじゃれ合いだすと、真っ先にわが子を叱った。

 代表の中でもトップクラスの運動量で、攻守の要となっている志賀選手も、当初は「チーム一泳げなかった」(築子さん)。上級生は全国大会連覇の実力者ぞろいで、泳力差は一目瞭然だった。

 そこで始まった強化策が100メートルを100本こなす「志賀スイム」。群馬ジュニア水球の夏の恒例練習となった。子どもたちが悲鳴を上げる過酷な内容だが、ストイックな志賀選手は手抜きをしなかった。築子さんは「上級生に追い付くのに必死だったのだろう」と振り返る。

 6歳上の兄、諭さん(36)=前橋商業高水球部コーチ=の存在も大きく、水球を始めたのも兄の影響。何でも器用にこなす兄を敬い、家でも敬語で接していたという。「兄と違って光明はどんくさかった。でも努力は惜しまなかった。監督が話すときは必ず目の前を陣取るの…。そういう姿勢は母親から見てもすごいなと思っていた」

 築子さん自身、指導歴は23年目。長くボランティアとして、休日返上で水球界に献身してきた。今は志賀選手も競技の傍ら、帰省時に水球教室を開くなど後進の育成に力を入れる。

 「たぶん、お互いが頑張っているから自分も頑張ろうという思いはある。直接言葉を交わしたわけじゃないけどね」。前回リオ大会は現地で応援したが、今年はそれがかなわない。それでも、息子には思いが伝わっていると信じている。(飯島礼)

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 本番で最高のパフォーマンスを―。東京五輪が開幕し、大舞台に挑むアスリートを間近で見守ってきた家族や恩師らは、それぞれの思いを強くしている。

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