《届け!エール 東京五輪》努力続ける背、見守る フェンシング女子 田村紀佳選手の姉・大杉麻里子さん(前橋)
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「当日は試合会場のできるだけ近くで応援する」。姉妹の表彰状が並ぶ実家で、田村選手の用具を手にする麻里子さん=沼田市

 「悔しい思いをした分、東京大会への出場はうれしかっただろう」。フェンシング女子代表の田村紀佳選手(30)は前回リオデジャネイロ五輪の選考で当時、国内ランキング1位ながら直前で代表を逃した。姉の大杉麻里子さん(32)=群馬県前橋市=は、東京五輪に懸ける思いを代弁する。

 小学2年から地元の沼田フェンシングクラブで、麻里子さんと共に競技を始めた田村選手。「昔から練習の前後に筋力トレーニングやランニングに励み、自分に足りないものを補おうと努力していた」と、麻里子さんは妹の頑張りをたたえる。

 高崎商大附高時には、全国高校総体(インターハイ)の個人で優勝。大学以降も日本代表に定着し、トッププレーヤーとして活躍を続けるが、麻里子さんは「旭興業に入り、リー・ウッチェコーチとの出会いが転機だった」と振り返る。

 「『おまえはいらない選手だ』と言われた」。ある時、涙声の田村選手から電話がかかってきた。それでも話すうちに「見返してやる」と珍しく強い口調に。懸命に気持ちを切り替えているようだった。そんな妹に、「必要だと言われるまで頑張りな」と声を掛け、励ましたという。

 その後、必死に努力する姿がコーチから認められ、田村選手は一対一でフォームを指導してもらえるように。確実に力を付けた2016年のワールドカップでは3位に入り、国際大会で初めてメダルを獲得した。「あの時のコーチの言葉の真意は分からないが、本人の奮起につながったのではないか」。麻里子さんは前向きに捉えている。

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、昨年1年間は思うように練習ができなかったという田村選手。五輪前の合宿も施設に缶詰め状態といい、麻里子さんは「毎日、電話で他愛のない話をしているが、ストレスを受けているのを感じる」と気遣う。

 田村選手は26日にサーブル個人、31日にサーブル団体に出場予定。これまで、試合には家族で会場に出向き、大声で声援を送ってきた。麻里子さんは「本人も声を聞くと緊張がほぐれるみたい。それだけに無観客は残念」。思いを少しでも届けたいと、当日は会場の近くでライブ配信で見守るつもりだ。(多々納萌)

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