「金に近い銀メダル」と絶賛 卓球団体女子の馬場美香監督(片品出身) 恩師や知人ら手腕たたえる
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女子団体の決勝戦を終え、中国チームの監督(左)と握手する馬場美香監督=東京体育館

 東京五輪の卓球女子団体で日本が中国との決勝戦に挑んだ5日、群馬県内の関係者はテレビ越しに試合の行方を見守った。絶対王者の前に惜しくも敗れたが、堂々の銀メダル。監督としてチームを率いた片品村出身の馬場(旧姓・星野)美香さん(前橋東高卒)の恩師や知人らは、屈指のタレント軍団をまとめ上げた手腕をたたえた。

 「相当なプレッシャーを背負っていたと思う。お疲れさまと言いたい」。中学校時代の同級生、宮田晴美さん(55)=同村=は友人をねぎらった。昔から卓球への思いが強く、何事にも手を抜かなかったという馬場さん。「銀メダルは精いっぱいやった結果。自分の時間をつくって、ゆっくりしてほしい」と願った。

 馬場さんの義理の姉(65)=同=は「卓球女子はこれまでの五輪でずっと中国に負けていたが、今大会では混合ダブルスで金メダルを獲得した。監督の指導で選手が力を出した結果だと思う」と祝福した。

 「大舞台で馬場さんがベンチに座っているのを見て、利根沼田の誇りだと感じた」と話すのは、馬場さんと交流があり、沼田高卓球部の外部コーチを務める本多加代子さん(64)=沼田市。「選手に声を掛ける場面やタイムアウトの取り方を見ても、選手との信頼関係を良く築けていると感じた」と拍手を送った。

 恩師も銀メダル獲得を喜ぶ。沼田中の監督として男子団体を全国優勝に導き、県中体連卓球部委員長を務めた田村●人(よしんど)さん(79)=前橋市=は「負けたが、予想以上に頑張った。金に近い銀メダル」と絶賛。小学生の馬場さんを指導したことがあり、「あれだけの選手を統率し、素晴らしいチームをつくった美香の功績は大きい」と興奮覚めやらぬ様子だった。

 前橋東高で馬場さんを指導した松井慎二さん(65)=同=は「惜しくも負けたが試合内容は良く、打倒中国で練習してきた成果が出ていた」と強調。ダブルスで勝ちを狙いに行った姿勢は「研究熱心だった現役時代をほうふつとさせた。若手も育っていて、日本のレベルを底上げした指導力は素晴らしい」とたたえた。(まとめ 堀口純)
編注:●は目ヘンに月

◎「打倒中国 パリで」夢の続きを選手に託す 馬場監督

 五輪実施競技となった1988年ソウルの女子ダブルス4位だった馬場監督にとって、33年越しの挑戦が幕を閉じた。個人団体とも最強の中国に挑み、混合ダブルスの金で新時代を開きつつ、女子団体での「打倒中国」は届かなかった。

 第1試合のダブルスが正念場といえた。1回戦から準決勝まで3試合を無傷で勝った日中の両ペアは、息詰まるラリーを展開した。1-2で迎えた第4ゲームは互いにタイムアウトを取る慎重な試合進行。天王山を取ったのは、中国だった。

 出産と育児を経て指導の道に入り、2016年リオデジャネイロに向けて当時代表の福原愛さんの専属コーチを務め、五輪後に監督に就任した。ダブルスは08年北京から団体に変更され、その後リオまでの3大会とも中国優勝の独壇場。牙城攻略を託された。

 「東京の金」を合言葉にナショナルチームを強化。ツアーのシーズン以外は月に7~10日程度の合宿を組み、一体感の醸成に努めた。自分の子供より若い選手たちに頭ごなしではない指導法で接した。栄養学やトレーニング理論の講座で選手の疑問に答え、練習の意義を説明。現役時代と同じく「心技体智」をモットーに競技場で自ら考え、戦える人間力を追求した。

 競技場は一番最後にバッグを複数抱えて入る。選手の飲み物のほか、データが書き込まれたノートもある。試合中は相手の実際の動きとノートをにらみ、メモを取り、タイムアウトや休憩時間に的確な助言を送った。生きた情報を積み上げ、台湾、香港と強豪にストレート勝ちし、相手監督たちが研究ぶりに脱帽した。

 それでも世界ランカーが並ぶ中国の壁は厚かった。決勝第2試合でエース伊藤が敗れ、後のない第3試合は平野を奮い立たせた。タイムアウトの助言が効いて猛攻する場面もあったが、中国の豊富な戦術と高い対応力に上回られた。

 混合を含む3種目のメダルを日本にもたらし、コロナ下での開催にあらためて礼を述べた。支えてくれたスタッフ、また地元群馬からの応援にも感謝した。「今回はまだ団体の実力が追いつかなかったが、選手のプレーは素晴らしかった。次のパリ五輪では」と夢の続きを3年後に託した。(田中暁)

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