CSF、ネズミが媒介か 群馬県、侵入防止策呼び掛け 農水省疫学調査
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殺処分などの防疫措置を行うため、養豚場内に入る県職員ら(県提供)
豚熱の発生を防ぐためには、地域での野生イノシシ対策の強化や、子豚へのワクチン2回接種などの対策が必要と話す獣医師の石川さん=13日午前、前橋市内

 群馬県桐生市の養豚場で発生したCSF(豚熱)について、現地を調査した農林水産省の疫学調査チームは13日、子豚の異変が相次いだ離乳舎でウイルスを媒介する恐れのあるネズミが確認されたとする調査結果の概要を公表した。ネズミなどの小動物によってウイルスが農場内に持ち込まれ、母豚から受け継がれる移行抗体が弱まったタイミングの子豚が感染した可能性があるとみている。省内での検討を経て、9月にも詳細な分析結果をまとめる。(稲村勇輝)

 現地調査は陽性が確定した翌日の今月8日に行われた。概要によると、この養豚場では離乳舎以外の豚舎でも、ネズミやその足跡などが確認された。農場の2キロ以内では野生イノシシの陽性が2月と4月に確認されていた。地域的に感染リスクが高いとみられる。

 一方、飼養衛生面については(1)従業員や業者が農場に立ち入る際に専用の長靴や作業着に着替えて手指を消毒していた(2)畜舎への立ち入り時に踏み込み消毒と長靴を交換していた(3)分娩(ぶんべん)舎から離乳舎へ豚を移動する際には洗浄・消毒されたケージで運搬していた―ことなどが確認されている。

 ネズミなどがウイルスを媒介した可能性があることを踏まえ、県家畜防疫対策室は「飼養衛生管理基準に基づき、畜舎の周りに金網を設置し、もし穴があれば修繕するなど小動物の侵入経路を絶つことが不可欠」とし、各農場に改めて設備の確認と点検を呼び掛けている。

 今回の養豚場では7月下旬以降、離乳舎で子豚が相次いで死んだ。今月6日に訪問した担当獣医師が確認したところ、子豚に発熱などの症状がみられた。県と国の検査で、生後40日程度のワクチン未接種の子豚2頭の感染が7日に判明した。

◎「イノシシ対策重要」専門家が指摘 子豚2回接種、有効

 CSF(豚熱)の発生をどう防ぐか。CSF問題の専門家で、全国の農場の経営や防疫のコンサルティング業務を担う獣医師の石川弘道さん(64)=桐生市新里町=は、野生イノシシへの対応と子豚へのワクチン2回接種が重要だと指摘する。

 「圧倒的に不足しているのが野生イノシシ対策だ。イノシシの問題がなくなれば100%、CSFの問題はなくなる」。石川さんは全国でCSFが発生した農場と、陽性となった野生イノシシの出現と時期の分布を落とし込んだ地図を基に、そう説明する。

 地図を概観すると、農場でのCSF発生が、陽性イノシシの出現分布と密接に関係していることが分かる。陽性イノシシの確認は直近になればなるほど、東日本では北へ、西日本では岐阜県から西へ広がっているという傾向も見える。

 群馬県内でも4月の前橋市、8月の桐生市と赤城南麓の養豚場で発生が続いたが、この地域では陽性イノシシの出現が相次いでいた。県や近隣自治体は対策として、経口ワクチン(ワクチン入り餌)の散布を進めてきたが、石川さんは「散布と同時にイノシシの個体数を減らすことが重要。国や県はより深い議論を始めてほしい」とする。

 もう一つの対策として、「子豚への2回のワクチン接種」が有効だと説明する。母豚から受け継がれる移行抗体が切れてから接種までの「空白期間」に感染するケースが相次いでいるためだ。「移行抗体が切れるまでの期間にばらつきがあり、豚舎内の子豚の間で抗体の量に差が生じているのであれば、2度打ちが有効」とし、「移行抗体が切れた後からワクチンが効くまでの期間を短くでき、より確実に、集団免疫を獲得できる」と強調する。

 石川さんによると、群馬県は知事認定獣医師制度の導入をはじめ他県に比べても先進的な取り組みを進めているが、対策は道半ばだという。「小動物の侵入を完全に防ぐことはできず、どこの農場でもCSFは発生し得る。行政には柔軟な対応を求めたい」と力を込めた。

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