宝台樹スキー場・キャンプ場事業 オープンハウスに譲渡 再建断念、雇用は維持 武尊山観光開発
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宝台樹キャンプ場のオートキャンプ場
 

 群馬県などが出資する武尊山観光開発(前橋市荒牧町、関隆之社長)は16日、宝台樹スキー場と同キャンプ場(ともにみなかみ町藤原)の事業を、不動産業を手掛けるオープンハウス(東京都千代田区、荒井正昭社長)に譲渡すると発表した。スキー人口の減少や暖冬の影響で武尊山観光開発は5年連続で最終赤字を計上。民間の活力で、両施設の活性化を目指すことになった。譲渡額は非公表で、雇用は維持される。

 土地やリフトの所有権は武尊山観光開発や県などに分かれており、同社が指定管理を受託している。オープンハウスが子会社を設立して事業を引き継ぎ、指定管理も受ける方向で手続きを進める。

 同様に指定管理者として運営しているオグナほたかスキー場(片品村花咲)と武尊牧場キャンプ場(同)は契約を解除し、片品村振興公社が運営を引き継ぐ方針。事業譲渡と指定管理の契約解除で武尊山観光開発の事業はなくなり、存続については今後検討する。

 武尊山観光開発は県やみなかみ町、片品村などが出資する第三セクターで、1979年に設立された。従業員は20人。近年、主力の宝台樹スキー場の利用者がピーク時の3分の1に減少するなど経営が悪化していた。2020年11月から、金融機関に借り入れの返済を猶予してもらい経営改善を目指したが、コロナ禍が直撃し自力での改善を断念、スポンサー企業を探していた。

 オープンハウスは1997年に旧藪塚本町(現太田市)出身の荒井社長が創業した。2019年にはバスケットボール男子Bリーグの群馬クレインサンダーズの運営会社を子会社化。本拠地を太田市に移すに当たり、建て替えが予定されている市民体育館の整備費用の一部を提供する方針。旧桐生南高の跡地利用でも、スポーツの研究や振興などの事業展開をグループ会社が提案して優先交渉権を獲得するなど地域に貢献する事業を複数実施している。

 スキー場やキャンプ場の事業取得についてオープンハウスは「地域資源をビジネスに生かす『地域共創プロジェクト』の一環」と説明。みなかみ町で別の観光関連事業の展開も検討しており、「県や町など自治体とも関係を強化して、地域を活性化していきたい」とコメントした。県OBの関社長は「スキー場やキャンプ場はこれまでと変わらず運営される。急激な環境変化に対応するためにも、安定した資本の下で事業を発展させたい」とした。(宮村恵介)

◎再出発に驚きと安堵 関係者ら、活性化や集客期待 宝台樹事業譲渡

 武尊山観光開発(群馬県前橋市)が運営する宝台樹スキー場と同キャンプ場(共にみなかみ町藤原)が不動産業のオープンハウス(東京都)に事業譲渡されることが明らかになった16日、地元には驚きと共に安堵(あんど)の声が上がった。新型コロナウイルス感染拡大やレジャーの多様化、雪不足などで観光業界への逆風が続く中、運営は新会社に移り、引き続き周辺地域の観光拠点となる見通しだ。関係者らは両施設の活性化と共に、コロナ収束後を見据えた集客に期待した。

 「ついこの間、事業譲渡のうわさを聞いたばかり。こんなに急なのか」。同スキー場近くで民宿を経営する小俣マチ子さんは驚く。宿泊客の大半はスキー場の利用客で、リピーターも多い。民宿に泊まるとスキー場の駐車場料金が半額になるサービスを行っているため、「そうした提携も引き継がれると良いが…」と不安そうだった。

 同町スキー場連絡協議会の松本亨太会長は「町内で一番規模が大きいスキー場なので、存続はほっとしている」と胸をなで下ろす。同協議会は町内全スキー場を一つの山と見立て、「みなかみ」全体で誘客を目指す企画を展開しており、「宝台樹も含め、今後も連携して多くの客が呼び込めれば、みなかみにとってプラスになる」と期待した。

 同キャンプ場の一部は同町が所有する。町観光商工課の担当者は「スキー場とキャンプ場は中心的な観光資源。経済効果も大きく、事業譲渡という形で運営が引き継がれるのは良かった」と強調する。町は譲渡を受ける新会社が設立され次第、指定管理の手続きを進める。

 利用者も施設存続を喜ぶ。プロスノーボーダーの松井英子さん(沼田市)は宝台樹スキー場について「上質なパウダースノーが体感できる場所」と絶賛。初心者や親子連れも楽しめるとして「残って良かった」と受け止めた。

 一方、オグナほたかスキー場と武尊牧場キャンプ場(共に片品村花咲)を所有する同村は、武尊山観光開発から両施設の運営を村振興公社が引き継ぐため、村議会9月定例会に関連議案を提出する予定。

 梅沢志洋村長は「新たな観光戦略や総合的なマネジメントによる村有観光施設の活性化を図りたい」としている。(まとめ 堀口純)

◎コロナ禍が追い打ち

 スキー人口の減少や暖冬などの影響で武尊山観光開発(前橋市)は近年、厳しい経営を強いられており、2016~20年9月期に5年連続(20年9月期赤字額は非公表)で赤字を計上していた。

 主力の宝台樹スキー場の来場者数は、スキーブームがあった1993年9月期に35万9207人を記録したが、その後は減少。極端な雪不足だった2016年9月期は11万724人に減り、当期損益が約1億4700万円の赤字に転落した。雪不足に新型コロナウイルスの影響が重なった20年9月期は利用者数が9万8814人に落ち込み、5年連続の赤字となっている。

 厳しい経営状況を受けて同社は昨年11月、新型コロナの影響を受ける企業を支援する中小企業再生支援協議会の「特例リスケジュール(繰り延べ)」を申請。金融機関に借り入れ返済を1年間猶予してもらいながら、経営改善の計画をまとめるはずだった。

 ただ、今年1~3月は東京圏などで緊急事態宣言が発令。県外が7割を占める宝台樹スキー場の利用者数は前季比10.8%減の8万8124人にとどまった。自力での経営改善が難しくなったことから、宝台樹の事業をオープンハウスに譲渡することにした。株主総会などでの決議を経て、事業譲渡は12月中旬を予定している。(宮村恵介)

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