正しい情報で判断を 「流産に科学的根拠なし」 高崎の産婦人科の病院長
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「自分を守るためにも、感染を広げないためにも、ワクチンは有効」と話す佐藤院長

 千葉県で新型コロナウイルス感染症で自宅療養していた妊婦が入院受け入れ先が見つからずに、自宅で産んだ赤ちゃんが死亡した問題が注目される中、群馬県内の産婦人科医は妊婦や不妊治療中の人に対し、ワクチンへのデマに振り回されないよう注意を促している。インターネット上には「ワクチンを打つと不妊になる」「妊娠中に打つと流産する」といった不安をあおるような真偽不明の情報が氾濫しているが、医師は「ワクチンによって不妊になったり、流産したりする科学的根拠はない。フェイクニュースをうのみにするのは危険」と指摘している。

 「新しいワクチンが開発されるたびに、不妊になるとか、胎児に影響があるといったデマが流れる。日本は予防医療に対する考え方が遅れているということもあるのかもしれない」と指摘するのは、高崎市の産婦人科舘出張佐藤病院の佐藤雄一院長。2013年に定期接種が始まった子宮頸(けい)がん予防の「HPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチン」や、新型インフルエンザのワクチン接種の際も、同様のデマが会員制交流サイト(SNS)などで出回ったという。

 理論的には、コロナワクチンは胎児に影響が及ぶものではなく、佐藤院長は「妊娠中でも不妊治療中でも、接種して問題はない」と説明。コロナワクチン接種が始まった当初こそ、日本産科婦人科学会などは流産しやすい妊娠12週未満の接種を避けるように通達していたが、欧米のデータ蓄積などによって、ワクチンが流産を引き起こす可能性は低いことが明らかになってきたため、最近では接種時期を問わなくなった。

 むしろ、妊娠中の女性がコロナに感染すると重症化しやすいという報告があるため、同院では、感染を避けるためにも早い段階でのワクチンの接種を勧めている。もし副反応が出た場合は、「解熱剤や鎮痛剤の服用も勧める。我慢は美徳ではない」と助言する。

 ただ、発熱や痛みなど副反応の影響で1、2日程度は体調が優れない場合があり、そういったときは生理や排卵も遅れがちになる。このため注意点として、佐藤院長は「不妊治療中の女性については、治療に影響を与えないタイミングをみながら接種することが望ましい」としている。

 厚生労働省も妊娠中や妊娠を計画している女性に向けて、海外のデータをホームページで紹介。妊娠中にワクチンを接種することで新生児への感染を予防する効果があることや、授乳中でも問題ないことも記している。(臂真里緒)

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